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No弐-516 高校野球の監督から学ぶ2

 今年の夏の甲子園は、仙台育英高校が春夏通じて東北勢初の全国制覇をしました。

 これまで全国のブロックで東北だけが優勝がなく、10回目の決勝進出で悲願を遂げました。

 私は、スポーツは選手はもちろんですが、特に指導者に興味があります。

 最近では、プロ野球の高津臣吾監督(No弐-214)、中嶋聡監督(No弐-215)、サッカーのオシム監督(No弐-406)、女子バスケの恩塚亨監督(No弐-426)。

 高校野球では、同じ東北のメジャーリーガーの大谷選手、菊池選手らを輩出した花巻東高校の佐々木洋監督(No弐-237)の指導法に注目しました。   

 今回も仙台育英の須江航(わたる)監督の指導法、人柄、言葉が印象的だったのでブログに残しておこうと思いました。

 

★須江監督のエピソード

・埼玉県出身。県外で勝負しようと仙台育英に入ったが、ずっと控え選手。

・在学中に学生コーチに転向。リーダーシップが評価される。

・大学卒業後、系列の秀光中軟式野球部監督に就任(2006)。全国優勝(2014)。

・仙台育英部員の飲酒や喫煙が発覚。当時の監督が引責辞任し、急きょ、母校の監督に就任。

(2018年1月)

 

・すぐに大阪桐蔭の練習を外野の外から見学。その後、西谷監督に質問攻め。「指導で大切にされていることは」「チームづくりとは」

・打球は低いライナーと球速の速いゴロが多い。日本一の基準を知った。

・この打撃をまね、単打でつなぐ意識を徹底。

・盗塁やバントなどの小技、機動力を絡め、即時の攻撃スタイルを築き上げた。

・5試合で69安打・47得点。長打は16本。本塁打決勝の1本のみ。

 

・2018年夏の大会(第100回)で初戦大敗(0-9)。試合後の取材で、

「1000日以内に全校制覇する計画を立てて明日から練習します」

・1年目は走塁、2年目は打撃などとテーマを決めて鍛えた。

「どこよりも早く、新しいことをやらないと100年以上閉ざされた扉は開かない」

・継投を重視。145キロ超を投げる左右の5投手。「肩肘は消耗品だという感覚で育てる」

「球速や球種の違う投手を打者が慣れる前に起用できる」

 

・指導では「データ重視」、「全員野球」を掲げる。

・走塁やスイングスピードなどを細かく測定し、いまの実力や目標値を丁寧に説明。

・「誰にでもチャンスを与えたい」紅白戦を繰り返し。結果を持ちにメンバーを選ぶ。

・就任から4年半、1471日で公言実行。

 

★反響を呼んだインタビュー

・いまの高校3年生は入学直後から新型コロナに翻弄されていた世代。

 どんな言葉をかけたいか、と聞かれると声が震えた。

「入学どころか、おそらく中学校の卒業式もできなくて。

僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんです」

 

「青春って、すごく密なので。でも、そういうことは全部ダメだ、全部ダメだと言われて。活動してても、どこかでストップがかかってしまうような苦しい中で。

 でも本当にあきらめないでやってくれた。

 全国の高校生のみんなが本当にやってくれた」

 

「今日の下関国際さんもそうですけど、大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから、あきらめないで暗い中でも走っていけた。

 本当にすべての高校生の努力のたまもの。

 ただ最後に僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います」

 

 すばらしい挨拶だと思いませんか?言葉を読み返すたびに目頭が熱くなります。

 子どもを伸ばすには、指導者の熱い思いと信念が必要ですね。