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No弐-514 ノーパニック症候群

  8月21日(日)の朝日新聞からです。「プール授業に潜む危険」という見出しが目に留まりました。

 名古屋市の小学校で6月、1年生の男子児童が水泳の授業中におぼれて一時意識不明になった事故について書かれてありました。

 今回の事故は、水をたくさん飲んでしまって器官に入った可能性と「ノーパニック症候群」の可能性も指摘されていました。「ノーパニック症候群」をご存知でしたか? 

★ノーパニック症候群(デジタル大辞泉)

・潜水(素潜り)時の事故の原因の一つ。

・血液が高度の酸素不足なのに、息苦しさを感じることなく意識を失ってしまう状態

・潜水前に深呼吸を必要以上に繰り返すことにより、血液中の二酸化炭素が減少し過ぎて起こる。

 

★事故の概要

・6月28日、1年生の3クラス69人がプールに入った。

・男児のクラスはこの日が初めての水泳の授業。

・担任教諭3人と補助員1人がプール内とプールサイドから監視。

・立った状態では、男児の顔は水面から20㎝出ていたと考えられる。

 

・「ボビング」(水中から潜った状態から少しずつ息を吐いて水面に飛び出し、息を吸ってまた潜る)の練習中、男児が水中に沈んでいることを担任が気づく。

・担任らが心肺蘇生の処置をし、意識が戻った。

・男児の話「潜った時に水を飲んでパニックになり、そこから覚えていない。プールサイドで目が覚めた」

・男児は救急搬送され入院。

・7月1日退院。

 

★学校の再発防止策

・1年生の授業では水深を55~95㎝と定める。

・プールに同時に入る人数を指導者1人当たり、児童10人目安。

 

・市教委は、校長会で教職員がAEDの使い方を改めて確認するように求めた。 

 

★井口成明准教授(桐蔭横浜大・安全教育学)の話

・2~3年プールに入っていないと、水中感覚をなくす。

・暑い日で久しぶりに入ることができる喜びの一方、水に対する恐怖心も大きいので、より丁寧なケアが必要。

・特に低学年は想定外の行動を取りやすく、注意が必要。

・「ノーパニック症候群」と呼ばれ、パニックにならないまま、眠るように水底に落ちていくため、泳ぎが得意な子にも目を配る必要がある。

 

 こういう事故が起こるとビビりますよね。今では入学前からスイミングスクールで泳げる子もたくさんいるはずですから、個人差に配慮した指導体制・監視体制が必要です。