先日8月7日に広島の秋山翔吾選手が131人目の日米通算1500本安打を記録しました。2000本安打達成者はまだ54人。取りあえずこれを次の目標に、1歩踏み出しました。どうぞこらからもよろしくお願い申し上げます。
今日は、8月7日(日)読売新聞「あすへの考」は京都・正覚寺住職でジャーナリストの鵜飼秀徳氏の「寺院再生」に注目してみます。
「長い歴史の中で、寺院は疫病蔓延に対し「弔い」という形で向き合い、今回の新型コロナウイルスのパンデミックは寺院の抱えていた諸問題をあぶりだした」と述べています。
★疫病蔓延の記録(墓石・墓誌)
・スペイン風邪が大流行した1918年からの3年間、葬儀・納骨された事例が急増。
・京都では江戸・安政年間にもコレラが流行。葬儀数が3倍に増加。
★新型コロナの3年前の衝撃
・衝撃が走ったのは2020年3月、タレントの志村けんさんが新型コロナで急逝した時のこと。まだ70歳。志村さんの遺体は病院から火葬場に直行し、遺骨だけが実家に戻った。
・翌月に亡くなった女優の岡江久美子さんの場合も同様。
・感染拡大阻止のため、看取りはもちろん、満足に弔うことさえできず、人々は戸惑った。
★仏教界の萎縮
・「海外の教会や葬儀で大規模なクラスターが発生し、多数の聖職者が感染死」の報道。
・仏教界は国内の寺院や葬儀場がクラスターになり、社会から批判されることを憂慮。
・読経の際、マスクをつけるべきか。儀式の際、どこまでご遺体に近づくべきか。
・中には「こういうご時世ですからお葬式は勘弁してください」と、葬儀拒否を表明する僧侶さえ現れた。
★簡略化した弔い、寺院の閉門
・葬儀を巡る混乱に対処するため、各宗派は独自のガイドラインを作成。
・ある宗派は、葬儀延期が望ましいとし、家族葬を奨励。
・感染拡大の際は「骨葬」。遺体を先に火葬し、遺骨にした上で、感染が収まってから葬儀。
・「1日葬」も増え、簡略化された葬儀が広まった。
・大寺院の中には一時、山門を閉じ、寺院側の判断で「参拝中止」にした。
★仏教界の存続問題
・現在、全国に約7万7000の寺院が存在し、このうち住職のいない「無住寺院」(空き寺)は約1万7000、宗教活動を停止した寺は2000。
・4割の寺院が「後継者がいない」と回答。(ある大手教団の宗勢調査)
・コロナ禍が長引けば、消滅の流れに拍車をかける可能性。
★揺り戻し
・ワクチン接種が進み、一時の混乱も収まり、冷静さを取り戻すと、葬儀のやり直しや一周忌法事をこれまで以上に執り行いたい遺族の増加。
・昨年は、鵜飼さんの寺でもお彼岸やお盆の法事数が過去最高を記録。墓参りも増加。
★デジタル・トランスフォ―メ―ション(DX)の波
・「バーチャル参拝」(リモートによる葬儀や法事)が注目されたが、導入率は伸びていない。(浄土宗の場合は3%程度)
・ニーズが高いのは、スマホによる法事の予約。お布施のオンライン決済。
★これからの仏教界
・供養だけでなく、生きている人の心の苦しみを和らげることも大事。仏教界は改めて、その役割、本来の在り方を自覚すべき。
・寺院は、地域社会の中で憩いの場、集いの場、学習の場を提供してきた。今後も常に外に向けて「開かれた存在」であるべき。
・寺院はいまこそ積極的に地域再生に取り組んでほしい。
改めて「弔う」という言葉の重み、「何が必要で、何が必要でないのか。何を変えて、何を変えないのか」という言葉は、宗教に限らず、教育、人生についても問われていますね。
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