7月9日に都小P(都内小学校190校、会員9万人)が日Pからの全国で初めての退会(来年3月)を決めたニュースはご存知ですよね。
PTAについては、No157(2018年11月30日)で取り上げたことがあります。
・PTAは、任意加入の団体なので結成や加入を義務付ける法的な根拠はなく、全ての児童生徒のためのボランティア活動。
・PTAは、1897年アメリカの2人の女性により自発的に結成。
・PTAは、保護者と教員が学びあうことで教養を高め、成果を家庭・学校・地域に還元し、児童生徒の健全な発達に寄与するという立派な理念。
・活動内容は、学校行事の手伝い、バザーや模擬店など学校や地域のイベントの運営や手伝い、廃品やベルマークを回収して学校に必要な物を購入、子どもの安全や防犯のための地域パトロール、広報活動など。
・会費は、家庭数で小学校の場合は年間3000~5000円くらい。
今日は、7月30日(土)の読売新聞朝刊「解説」で、日P退会へのいきさつやPTAの現状、工夫について詳しく書かれていたので紹介します。
★PTAとは?
・PTA(Parent Teacher Association)は米国発祥とされ、父母と教師が対等の立場で子供の教育について語り合う活度が始まり。GHQが設立を推奨。
・旧文部省は1964年、省内に「父母と先生の会委員会」を設置し、47年にPTA結成の手引書を作成し、家庭と学校が教育の責任を分け合う意義を広めた。
・その後、各地でPTA設立が相次ぎ、48年に全国の小中学校の7割、50年には9割に設置され、会員数は1500万人に迫った。
★日本PTA全国協議会(日P)とは?
・52年に教育振興を目指す全国組織として「日本父母と先生の会全国協議会」(現日本PTA全国協議会)が設立。
・日Pは「日本最大の社会教育関係団体」をうたい、都道府県や政令市のPTA協議会・連合会でつくる全国組織。計64団体が加入。
・学校単位のPTAの保護者らも会員で、その規模は約800万人に上る。
・全国の会員から集められた年会費約8000万円。
・PTA活動に関する年1回の全国研究大会や広報誌コンクールの開催、保護者の意識調査などを行う。
・子どもの安全に関する国への政策面での働きかけも行う。
★日Pの活動の現状
・活動へのメリットが会員にとって十分に感じられていない。
・全国研究大会には約8000人の会員が集まるが、教育関係者の講演などが主で、出席者が課題などを発言したり、情報交換したりする機会もない。
・都道府県が持ち回り開催し、動員などで保護者らの負担も大きく、開催意義を疑問視する声も多い。
★都小Pの日Pからの退会理由
①日Pには会員の声を集約したり会員同士の交流を深めたりする意図が感じられない。
②年会費(約180万円、児童1人当たり20円)のうち半分の約90万円を納めているが、全国大会や中学生を対象とした事業への支出が多く、会員に納得してもらえる説明ができない。
★PTAの現状
・PTAはボランティア団体で加入義務はないが、会員が未加入の子供をPTA行事に参加させないなど、事実上の強制となっている例もある。
・メールや電話で済む内容でも、学校で会議を行うなど非効率な運営が続く。
・役員選びも保護者同士による強制や押し付け合いが起きている。
・主に専業主婦や自営業者が担ってきたが、近年の共働きの増加などで活動に負担や疑問を感じる保護者が声を上げ始め、改革の動きが広がっている。
・横浜市の小学校では、月1回の役員会はオンライン会議システムを導入。会報誌はメール送信。
3月8日(火)読売新聞朝刊「関心アリ!」にもこんな記事がありました。
・活動の一部を企業に外注したり、業務用のクラウドサービスを導入したりする動きが広がっている。
・役員同士のデータの共有や連絡に使えるクラウドサービスを導入。「サイボウズ」(ソフトウエア会社)によると、このサービスは200を超えるPTAや保護者団体が利用。
・「こども安全マップ」を外注したところ、見違えるほどわかりやすくなった。
・「PTAS」はサイト上で、書記業務や行事の撮影と配信、校内の清掃や消毒などを請け負う約40社を紹介。全国約360のPTAがユーザー登録。
PTAが必要かどうか、どんな活動が好ましいのか、を考えるきっかけになったと思います。ただ学校と地域と親が分断されてしまっては、いい教育はできませんよね。
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