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No弐-495 言葉のおもしろさ25 

 朝日新聞終末別冊版「be」に連載している飯間浩明さんの「私のB級言葉図鑑」からです。今回は今月7月2日から7月26日の4回分です。

①「●は点のれっかが大」 今でもこの字使いますか?(7月2日)

 飲食店街のあるすし店に<寿司屋の原●(●は点のれっかが大) 旨い・安い・早い>と書いてあったそうです。

・「●(点のれっかが大)」は「点」の異字体です。

・昔は何でも手書きだったので、人々は効率を求めていろいろな略字を生み出しました。

・戦後、「点」は正式に学校で習う字になりましたが、「●(点のれっかが大)」は学校では扱いません。

・「点」より1画少なくて便利せいか(?)愛用者は多くいました。

・1964年の東京五輪で使われました。マラソンの折り返し地点である調布市の車道に<折返●(点のれっかが大)>と書いた大きな円錐が立てられました。

 

②「利用中止」 店の困惑と怒りが伝わる?(7月9日)

コンビニに<トイレ 利用中止>と書いてあったそうです。

・「利用」って、店が中止できるものでしょうか。

・店はトイレを提供する側なので、「提供中止」と書くか、客の側に立つなら「ご利用になれません」と書くか。ではないかな。

・深読みかもしれませんが、文言からは店の困惑と怒りが伝わってきます。

 

③「●●(●はビャン)麺」 印刷するのも簡単でない(7月16日)

「●●(●はビャン)麺」という料理が人気で、街で「●●(●はビャン)麺」の看板をよく目にするそうです。(「面」は「麺」の中国での書き方)

・ファミレスやコンビニでも提供されます。

・「ビャンビャンめん」。きしめんより幅の広い麺を使う、中国せんせい地方の郷土料理。

・この麺料理が話題になり始めたのは2010年代の後半からでした。

・「●(ビャン)」という非常に複雑な漢字にも注目が集まりました。

・「●(ビャン)」はこの料理にしか使われない漢字で、日本でも使われていません。

・「AERA」4月4日号にこの料理がでた時、本文にこの字が使われました。あまりにも複雑な漢字(57画)で、細部がつぶれていたのはやむをえないでしょう。

・印刷するのも簡単でない漢字なのです。

 

④「痛風丼」 「怖いもの食べたさ」かな?(7月23日)

 <和牛+うに+イクラ!? その名・・・痛風丼>という尾坂屋の看板を見たそうです。

・「痛風丼」はプリン体の多い食材を使ったという意味なのでしょう。