· 

No弐-489 児童演劇劇団の減少  

 7月26日(火)の朝日新聞朝刊にこんな記事がありました。「全国の学校を巡回する各地の児童演劇劇団が苦境に立たされている」というのです。

 「演劇教室」懐かしく思います。皆さんはいかがですか?

・学校での観劇の授業が近年減りつつあるなか、コロナ禍が追い打ちをかけた。

・専門家は、児童生徒が芸術に触れる機会を提供してきた文化の衰退を懸念している。

 

★劇団め組

・1984年設立。全国の小中学校を巡回し、「青い鳥」「はだかの王様」「泣いた赤鬼」といった名作を元にした児童演劇を上演。

・年間の公演数は、少子化の影響などで年々緩やかに減少。

・ピークだった90年代後半は年間約600回あったが、2010年代は300~400とおおむね半減。

・約40人の団員が、3グループに分かれて全国の子どもたちを楽しませてきた。

・コロナ禍で20年は年間13回、21年は27回にとどまり、売り上げは激減。

・劇団の事務所は、賃料の安いマンションの一室に移転。

・状況を打開するために20年10月には収録した演劇をオンラインで配信開始。ダイレクトメールで各学校に送付し、徐々に講演の予約も入り出す。

 

★児童向け劇団

・子ども向けの劇団の多くは戦後に発足し、全国の学校を巡回。

・学校での観劇は、18年に閣議決定され、第3期教育振興基本計画で「子供たちの豊かな情操や道徳心」を培うものとして位置づけられた。

・主に音楽や総合的な学習の時間で実施されてきた。

・ピークの90年代には年間1200万人が学校で観劇したが、コロナ禍前には200万人まで減少

 

★観劇の授業の減少

・約8割の小学校は、「十分な予算を得ること」を課題とした。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、全国2421校の小中学校対象、2019)

・少子化に加え、週5日制の導入、英語やプログラミングなどの学ぶ内容の増加が背景。

・そこへコロナ禍が追い打ちをかけた。演劇鑑賞は大勢の児童を1か所に集めるため、感染防止の観点から敬遠。

・小学校の観劇の授業19年度(64%)、20年度(21%)、21年度(35%)

・首都圏では複数の劇団が廃業を決めた。

 

★小林由利子教授(明治学院大、教育学)の話

・カリキュラムが詰まり、時間的にも予算的にも手が回らず、演劇鑑賞は後回し。

・減った公演数を各劇団が取り合う厳しい状況が続いている。

・経済的事情に関係なく、平等にみんなで演劇に触れる機会を提供してきた重要な存在。

・地域の劇場や児童館などでの公演への助成など、学校以外でも活躍できるフィールドのさらなる拡充が必要。

 

 音楽や演劇、文化に触れる機会をなくしてはいけませんよね?