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No弐-488 宮口幸治先生から学ぶ2

  今日も、7月4日(月)東京新聞の「あの人に迫る」の「ケーキの切れない非行少年たち」の著者、児童精神科医の宮口幸治教授(立命館大)の話からです。後半です。

 

★気付かれない認知機能の弱さ

・本人が「認知機能が弱いから助けて」とは言わない。

・代わりに暴力や非行などの問題行動に出る。

・自分に自信がないから、好意的に声をかけられても反発してしまう。

・こういう行動は、家庭や交友関係の問題にされることがほとんど。

・多くの場合、背景に認知機能の弱さもあることに気付かれず、何か問題を起こして鑑別所に入り、検査を受けて初めて「この子はこんなしんどい思いをしていたのか」と分かる。

・加害者になり、逮捕されるまで気づかれない。

 

★コグトレと認知行動療法

・認知(コグニティブ)のトレーニングをする教材「コグトレ」(覚える、数える、写す、見つける、想像するの5つで構成)を作成。課題のある子を見つけられる。

・再非行の防止には認知のゆがみを直す「認知行動療法」が効果的。

・コグトレで認知機能を高めた上で取り組めばさらに効果が出る。

 

★親の役割

・褒めるのがだめというのではわけではないが、嫌いな人から褒められてもうれしくないし、大したことをしていないのに褒められても「ばかにしているのか」と気づくので、効果は限られる。

・「そのままでいいよ」もできないことにチャレンジしようとする芽を摘む可能性がある。

・親がかける言葉は、やっぱり「頑張りなさい」だと感じる。最近は否定されがちだが頑張れないと生きていけないから。

 

・ただ子どもからやる気を引き出すには前提がある。

①親が「安心の土台」であること。

・子どもが電気自動車だとすると、親は「いつでも充電に戻ってきていいよ」という充電の器の役割。

・子どもにとって、いつでも帰れる場所であることが重要。

②危ない時、不安な時には寄り添ってあげて、それ以外は余計な口だしをしないこと。

・こういう関係がベースにあって初めて、子どもはチャレンジできる。

・「やればできる」という経験を多く積ませることが鍵になる。

 

 「親の役割」は、保護者会の話題にしてもいいですね。

 「やればできる」経験がたくさんできる学級、学校でありたいですね。