今日は、7月4日(月)東京新聞の「あの人に迫る」からです。
「あの人」は、「ケーキの切れない非行少年たち」の著者、児童精神科医の宮口幸治教授(立命館大)の話に注目しました。2日に分けて紹介します。
★「ケーキの切れない非行少年たち」が80万部を超える大ヒットした要因
・本で紹介したような認知機能の弱い非行少年たちの姿が読者自身の経験に重なり、「そういうことだったのか」という気づきとともに受け入れられたのだと思う。
・言い換えれば、必要な支援を受けられない人が周りにたくさんいるということ。
★医療少年院の経験
・本当に困っている子どもたちの一部は事件の加害者になり、病院ではなく医療少年院に集められているのを知った。
・病院に来る子どもたち(発達障害の小学生や虐待を受けた子どもたち)と共通点が多いと思ったが、実際には全然違っていた。
・殺人事件を起こした少年に「自分のことをどういう人間だと思うか」と聞くと、「自分はやさしい人間だ」と返ってくる。
・高校生の年齢でも丸いケーキを三等分できない。
・明らかに「見る」「聞く」「想像する」などの認知機能や知的能力の問題があるのに見落とされ、病院にも来られない。
・そんな少年たちがいかに挫折を経験し、どれだけ生きづらさを感じてきたのか、考えさせられた。
★医療少年院の子ども実態
・今の世の中でやっていくにはIQ100以上ないと厳しいと言われている。85未満だと相当なしんどさを感じている可能性があるが、知的障害とは認定されずに支援につながることもなく、不真面目だと思われてしまうこともある。
・学校では授業が理解できずに学習面でつまずき、友人とも年相応の会話についていけず、ストレスを感じる。
・「自分はだめな人間だ」と考えるようになり、引きこもったり、犯罪やトラブルに巻き込まれたりするようになってしまう。
★非行少年に共通する特徴
①認知機能が弱いと、予測する力が問題になる。例えば、お金がなくて困った時は盗んだ後の予測ができないので、安易に目の前にあるお金を盗んでしまう。
②融通が利かない子だと、いったん方法を思いつくと別の選択をできない。
同世代の子を一緒に見る教員が最も気づきやすいはずで、学校でいかに早くすくい上げて支援するかがとても重要だとおっしゃっています。
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