昨日の定例「7月のがるべる」は、15人の方が参加してくださいました。
最初の近況報告と現場の情報交換では、こんな情報が寄せられました。
・夏休み前に5、6年生合同の移動教室(2泊3日)で千葉へ。
・終業式は、体育館で行う予定が前日に放送に切り替わる。
・夏休み7月中、学習教室&プール指導(午前中3回)
・2日間のサマースクール(補習教室)。25日から夏季プール実施。
・夏休みの水泳指導中止。
・夏休みの現在、個人面談期間中。
・5年生は26日から、鴨川に行き、臨海学校(2泊3日)
・まだコロナの影響あり、学校もコロナでやっていなかったことを以前のように戻すことにより、先生たちも負担を感じている。
・コロナ前にやっていた事とコロナ後にやっている感染対策が合わさって、例年にない忙しさを感じた一学期だった。
☆専門がるべる T先生(横浜市勤務)
1.「特別支援学級〜ICTを活用した図工の鑑賞~」
・この単元は、「アートリップ」と言い、認知症の当事者が、アート作品を見ながら、「アートコンダクター」と呼ばれる進行役の質問に答える形で対話を重ねていく鑑賞プログラムを参考にした。
・NHKの小学生向け図工番組「キミなら何つくる?」の第4回の放送「みんなで見よう!語り合おう!」を参考にした。実際にこの番組を子どもたちと4、5回見て、鑑賞のイメージを持たせた。
・特別支援学級に在籍する子どもたちは、繰り返し同じ活動を行うことで、見通しが持てるようになり、自信をもって活動に取り組めることができるようになる。
「①見つけたものを発表 ②感じたものや思ったことを発表 ③タイトルをつける」の流れで私たちも語り合いました。
2.「特別支援学級〜SDGsの取組~」
・「SDGsとは、行動だけでなく”知ること”から始まる。知ることが行動の変容の第1歩。」と言ったユネスコスクール大会でのある大学生の言葉が耳に残る。
・特別支援学級の担任として、柔軟なカリキュラムの作成をここぞとばかりに利用して、SDGsについて知ることから始めた。
・昨年から、テレビ番組でもSDGsについて扱う番組が圧倒的に増え、中でもNHKは子どもにわかりやすい番組やHPを作っている。
・1時間目は、ゆっくり朝の会をして、心にゆとりを持たせるための自由時間を作ったり、野菜の世話をしたりした。その時間にHPを見たり、SDGsの覚え歌やYOASOBIのツバメを歌ったり、踊ったりした。
・夏前は、花壇でミニトマトやピーマン、ナスを育てていたが、秋からは室内で育てられる野菜に変えた。椎茸を育て、面白いほど収穫(90個)でき、子どもたちは大喜び。
★リボべジ(再生野菜)
・野菜作りに意欲が高まっていたので、「リボベジやってみない?」と投げかけた。「やるやる!」と乗り気な返事が返ってきた。
・タブレットのサイトを活用し、自立活動、生活単元学習の時間を使い、学校のすぐ真横にあるスーパーにお買い物学習に行き、野菜とリボベジを育てるための容器を買いに行く。
・NHKのHPから読み札と絵札の枠をダウンロードし、SDGsカルタを作った。絶滅危惧種に触れる子、自分にできること(例:マイボトルを使う、給食を残さないように頑張る、健康でいるためになるべく階段を使うなど)をカルタにしている子がいた。
・子どもの中には「毎日クラスのめあてとSDGsでできることを絡めたらどうかな?達成できたらスタンプを集めていこうよ。」と提案があった。すでに手作りのスタンプカードを作成していた。
「リボべジ」の活動ってとてもいいですよね。見た目で成長が分かる。小さい時から世話にかかわる、成長に気が付く活動を経験するって大切ですよね。
3.「小学校1年生の国語〜絵本を取り入れた実践『くじらぐも』~」
・絵本からスタートした1年生。少しでも、楽しく過ごせるよう身体を動かしながら読める本を探した。
・「だるまさんが」シリーズ、「パンダたいそう」は朝の読み聞かせやちょっと疲れた時の読み聞かせに大活躍。
★年間カリキュラムの作成(*小単元説明省略)
◯説明文→ゴールとして図鑑や本から必要な情報を見つけ、自分のオリジナルの図鑑を作る。『うみのかくれんぼ』『じどう車くらべ』『どうぶつの赤ちゃん』
◯教科書の叙述から声の大きさや動作を考え、音読発表会をする。
『おむすびころりん』『やくそく』『おおきなかぶ』『くじらぐも』
◯お話の好きな場面と理由を考えたり、友達に紹介したりする。
『むかしばなしをよもう』『おかゆのおなべ』『たぬきの糸車』『ずうっとずっとだいすきだよ』
★司書教諭との連携
・『むかしばなしをよもう』や『じどう車くらべ』『どうぶつの赤ちゃん』など時期に合わせた絵本などの読み聞かせと、本の収集、実際に説明文を書くために必要なページのコピーとラミネートをクラスの人数分依頼。
・「くじらぐも」の作者は中川李枝子さん。同じ作者の著書に触れる経験をもたせたい。子どもたちが親しみをもつ「ぐりぐらシリーズ」の作者であり、絵本自体が読みやすい量なので、色々な作品を何冊も読むことができるのではないかと考えた。
・朝のお支度後や雨の日などの休み時間を使って好きな本を選んで読書の時間とした。
・学校図書館では一冊は必ず中川李枝子さんの作品を読み、そのあとは自由読書にすることもあった。
・教室には模造紙と丸シールを準備し、作品名を書き、読んだ作品の横に読み終わったらシールを貼った。シールの魔法にかかり、沢山の本をクラスみんなで読んだことを視覚的に残すことができた。
・中には、『くじらぐも』と同じ台詞がある絵本があることに気づいた子もいて、叙述から考える一歩にもつながった。
・最後は、6年生と校長先生を招待して音読発表会を行った。
・クローバー文庫(私物の本が集められた学級文庫)に置き、テストが早く終わったあと、休み時間など繰り返し読む姿が見られた。
4.「小学校1年生の国語〜絵本を取り入れた実践『ずうっとずっとだいすきだよ』~」
・学習指導要領、教科書の改訂で、長年秋頃に行われていた単元だが、最後に移った。
・「死」をテーマに扱うことの難しさも感じていたが、自分の中でこれだ!と思ったのは、「死」にまつわるテーマの本を選び読んで、同じ本を選んだ友達に理由を伝えたり、聞いたりするという先行実践だった。
・使用する本として、『さよならをいえるまで』『いつでも会える』『おじいちゃん わすれないよ』『コブタくん もうなかないで』『おじいちゃんのごくらく ごくらく』が紹介されていた。
・ヨシタケシンスケさんの『このあとどうしちゃおう』を加え、35冊ほど用意し、『くじらぐも』の時と同じように、朝のお支度後や雨の日などの休み時間を使って全種類を必ず1回は読むようにと伝え、単元が始まる前から先読みさせた。
★『ずうっとずっとだいすきだよ』の授業
・叙述から主人公の気持ちやエルフの様子を押さえることを意識した。
・主人公の気持ちの叙述には赤を、エルフの様子には青の線を引いていく。叙述だけでは判断が難しい部分は、緑の線を引いた。
・単元の終わりに、紹介した本の中から自分のお気に入りの一冊を決め、同じ本を選んだ友達同士でどこが好きなのかを伝え合った。
・「同じ本を読んでも、好きなところが違うんだなぁ。そういうところがいいと思ったんだと新しい発見があった。」と言う声があがった。
絵本が大好きな先生の実践が低学年や特別支援級の子どもたちに豊かに広がっていく様子が伝わりました。
T先生のお礼の言葉に「会に参加しても実践できないもどかしさに、会が参加すること自体が苦しくなってしまうことにありました。でも、やはり、学び続けること。それを子どもたちに還元すること。それが教師という仕事なのだと改めて感じた一日でした」と書いてくださいました。
教師なら「教材研究への情熱」を失ってはいけません。子どもを伸ばすにはもっともっと「柔軟なカリキュラム」が必要なんです。子どもはそれを待っているんです。
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