一昨日7月12日(火)読売新聞、神奈川新聞朝刊に「通級指導」の調査結果の記事がありました。
★通級指導調査(2020)
・全国の小中高校で、通常学級に在籍しながら一部の時間は障害に応じて別室で専門指導を受ける「通常学級」の児童生徒が2020年度、過去最多の16万4693人に上ったことが文科省の調査で分かった。
・前年度より3万508人(2割)超増えた。
・小学生14万255人、中学生2万3142人、高校生1296人。
・言語障害(4万3632人)、ADHD(3万3825人)、自閉症(3万2346人)、学習障害(3万612人)
・自校通級(10万6022人64%)、他校通級(4万6287人28%)、巡回指導(1万2384人8%)
・通級指導は必要と判断された生徒2396人のうち1100人は指導を受けなかった。
本人や保護者が希望しなかった(449人)、指導教員不足(118人)、時間割の調整ができなかった(81人)
集計した月が違うとはいえ、2020年の結果がこれですから、この数字は確実に増えていくことが予想されます。
★文科省の検討会議報告書のポイント(東京新聞5月7日)
・教員が新任から10年以内の特別支援学校や小中学校の特別支援学級で複数年勤務を経験
・特別支援学校・支援学級間での人事交流促進
・管理職の任用に特別支援教育の経験を考慮
・採用では特別支援教育の単位取得状況やボランティアなどの経験を選考時に加点
★教員の実態(東京新聞5月7日)
・特別支援教育を受ける児童生徒の増加に教員の配置が追い付かない現実がある。
・特別支援学校の教員の17%、支援学級担任の教員の24%が臨時的任用。(2021)
・支援学級担任が専門の教員免許を持つ割合は31%。(2021)
・全国特別支援学級・通級指導教室設置学校の校長の特別支援教育未経験者は70%超。(2021)
これを読んでいて思い出したのが、5月3日(火)の朝日新聞朝刊「私の視点」にあった立入哉(たちいりはじめ)教授(愛媛大)の「特別支援学校」についての話です。
・視点を変えてみたい。当事者である特別支援学校・学級の児童生徒からの視点である。
・特別支援教育の経験がない教員が研修のために着て、早ければ2年で異動する。
・中には特別支援教育にあまり関心がなく、将来の昇進のために異動する教員がいるかもしれない。
・はたして、特別支援学校・学級の児童生徒が教員の研修や昇任のために利用されていいのだろうか。
・特別支援教育には、特別支援教育なりの高度の専門性があり、通常の教育を経験している教員であれば、誰もが特別支援教育の担い手になり得るとは思えない。
・特別支援教育は通常の教育のレベルダウンであるから、通常の教育ができる教員であれば誰でも担当できると思い違いをしているのであろうか。
・「特別支援教育の経験がある教師を増やしていくことが必要」ならば、特別支援教育の教員養成系大学の学生定員を増やせばいい。
・特別支援教育にあたる教員の養成数が圧倒的に少ないのが問題なのである。
・障害を持った子どもたちを対象とする特別支援教育は、長い経験と高い専門性に裏打ちされたものであるべきと考えている。
・特別支援学校・学級の児童生徒に対しては、専門の教員養成課程を卒業した、それぞれの障害領域についての専門性を持った教員が長く務めるべきだ。
いかがですか?中途半端な研修や経験は、特別支援学校・学級にも迷惑な話なのです。
通常学級の中で発達特性のある子をどう指導するか?どう伸ばすか?が分かる専門家をもっと増やす必要があるのです。
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