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No弐-464 果汁飲料パッケージの絵の決まり

 昨日は、日本経済新聞「プラス1」の「くらし探検隊」からホタルを取り上げました。

 そういえば、このコーナーでまだ紹介していなかった記事の中に「果汁飲料パッケージの絵の決まり」(5月28日)があったことを思い出しました。

「果汁飲料のパッケージ図案の表現には、果汁の比率によって厳密な決まりが設けられている」のをご存知でしたか?

 

★パッケージのルール

・どのような絵や画像などの図案をパッケージに表示できるかは「その飲料製品が果汁を何%使っているか」で細かく決められている。

「写実的な絵・写真」 果汁100%ジュース〇 果汁5%以上100%未満〇 果汁5%未満✕

「果汁の断面図」 果汁100%ジュース〇 果汁5%以上100%未満✕ 果汁5%未満✕

「果汁のしずく」 果汁100%ジュース〇 果汁5%以上100%未満✕ 果汁5%未満✕

 

「果汁100%のジュース」 丸ごと果実に加え、その果汁のしずくや断面も表示できる。

「果汁5%以上100%未満」 果実そのものは使えるが、断面やしずくは表示できない。

「果汁5%未満」 原則的に果実の絵や写真は使えないが、「図案化した絵は使用可能」という例外規定がある。

・「ファンタオレンジ果汁1%」のパッケージは、果実の表面や葉の葉脈などがリアルではなく、つるっとしたプラスチック模型のようなイラストとして描かれている。

 

★断面やしずくに表示の可否があるのはなぜか?

・消費者の誤解を与えないため。100%ジュースではない製品のラベルを見て「中身が果汁だけ」だと消費者が誤認しないようにした。(日本果汁協会・内山さん)

・みずみずしく描かれた断面やしずくを見ると、人は「絞った果汁」を連想しやすい。

・果汁飲料のパッケージの表現は、「景品表示法」に基づく公正競争規約(業界の自主ルール)で決まっている。

・企業と消費者の取引で消費者を守る景品表示法を踏まえ、「もっと品質をアピールしよう」と紛らわしい表現がエスカレートするのを防ぐために設けられた。

 

★どのようにパッケージをデザインするのか?

・断面やしずくを使えば、果汁本来の自然の恵みとしてのおいしさ、みずみずしさをアピールし、中身のおいしさを想像させられる。(日本コカ・コーラ、プランディングデザイン担当・長原さん)

・「果汁5%以上100%未満」の製品では、果汁ではなく水が活躍する。果物に水滴が垂れ落ちる様子を描くことで、鮮度の高さを間接的に表現する。

 

★他の飲料では?

・こうした規約が適用されるのは果汁飲料だけ。紅茶飲料や酒類などはルールの対象外。

・レモンティーには、果汁2%や0.1%のものがあるが、レモンの断面がはっきり描かれている。

 

★その他のルール

・ルールはビジュアルだけではない。「特選」「デラックス」「スペシャル」などの言葉は不当表示に該当する。

・成分表示は必ず記載しなければならない項目も多い。

 

★ジュースの定義

・ジュースとは、法律の解釈上、果汁100%の製品のみを指す。

・日本の消費者は甘い飲み物を「ジュース」と総称しがちだが、法律に照らせばジュースでないものも多い。

・ジュースに使われる果汁にも「ストレート」と「濃縮還元」がある。

・「濃縮還元」とは、一度絞った果汁や野菜汁の水分を飛ばし、再度水分を入れて元に戻す方法。輸送しやすくなったり、品質や糖度が安定したりするなどの利点がある。

・「ストレート」は、絞った果汁をそのまま使っており、果物のありのままのおいしさを楽しめる。

 

 いかがでしたか?今度は飲料のパッケージを見る楽しみが増えました。