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No弐-460 家族を考える2

 今日も6月26日(日) 読売新聞「あすへの考」の山田昌弘さん(家族社会学者、64)の「考」から、家族について考えてみたいと思います。

 「少子化対策を30年続けて効果が見られないのは、日本の対策は正規雇用女性の子育て支援に集中し、結婚支援を十分してこなかったことが要因の一つ」とおっしゃっています。

 

★未婚化の背景 ①親同居 ②世間体意識 ③リスク回避意識

 

①親同居・③リスク回避意識

・欧米のように、成人して親から独立しなければならないとしたら、1人より2人で暮らした方が楽だから恋人と暮らし始める。

・日本では「親同居」が一般的で、その方が居心地がよく、生活水準が高い場合が多いから、生活水準が下がるリスクのある結婚を未婚者は選ばない。

 

②世間体意識

・日本人は世間体意識が強いから、世間並みの生活から脱落しそうな結婚も選ばれない。

・これは、若者の親世代に強い意識。

「自分たちができたのだから娘や息子が結婚できないはずがない」

「結婚相手に平均収入ぐらい求めて当たり前」

◎「平均のマジック」 平均以下がいるから平均が出る。実際に平均に到達するのは難しい。

学校の先生が生徒に「みんな平均以上を目指せ」と言うのは間違い。

・調査では、女性が結婚相手に望む年収は400万円以上は3分の2。

 しかし、そのような未婚の男性は4分の1ぐらいしかいない。

 

★親と同居している中高年未婚者

・35~44歳で親と同居している未婚者は308万人(2015、総務省統計研究研修所)

・無職が約10%、親の年金に頼って生活している場合も多い。

 

★家族の階層化

・グローバル化やデジタル化で生じた格差が家族の階層化につながり、拡大・固定化しつつある。

・経済的に頼れる親を「太い親」、そうでない親を「細い親」と呼び、親の経済・教育格差がじかに子どもに反映する。

・親にも当たり外れがあるという「親ガチャ」という言葉が注目されるゆえん。

 

★新しい家族像

①バーチャルの世界で情緒的な関係性を築く人

・30代前半の未婚男性の14%がアニメやゲームなどのキャラクターを、

未婚女性の16%がアイドルやタレント、スポーツ選手などを恋愛対象にしている。

・バーチャルキャラと結婚する人もいる。

 

②ペットの存在

・ペットを家族と思う人が増えている。

・30年前、ペットに遺産相続させたいという話を家庭裁判調査官から聞いたことがある。

◎「共感の壁」 ペットを家族と捉え、壁の内側に入れる人もいれば、我が子なのに虐待して壁の外側に置く親もいる。

・壁の高さや、何を家族と思うか自分で選べるようになったのが今の時代の特徴。

 

★今後の家族に必要な支援

①戦後の家族モデルからの脱却

②多様な家族の形(ひとり親、再婚家庭、養子、同性婚など)を認める寛容性

③家族がいなくても孤立せず、貧困に陥らない社会保障や労働政策の拡充

④新しいコミュニティーの形成

⑤男女共同参画の推進

 久々の「家族社会学」、面白いと思いました。家族を学ぶと教育に生かせますね。