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No弐-459 家族を考える1

 5月29日(日)読売新聞「あすへの考」の若松英輔さん(批評家、随筆家、53)の「考」を読み、No弐-430で利他について考えました。

 今日は、6月26日(日) 読売新聞「あすへの考」の山田昌弘さん(家族社会学者、64)の「考」を読み、家族について2日に分けて考えてみたいと思います。

 

★家族とは何か?

・「夫婦と子どもから成り、互いに信頼、必要とし、困ったとき助け合う存在」、

「無条件に愛情を注げ、一緒にいると安心する。自分が自分であることを確認できる存在」

 多くの人は答えるのでは?けれど、こうした家族像が昔からあったわけではない。

 

★戦前

・多くの人が農家や自営業で暮らしていた頃は、家族は生活組織であるだけでなく、生産組織である。

・愛情で結びつくというより、生活上の義務を共同で果たす役割が強かった。

・夕食時に家族がおしゃべりしながら食事をする習慣は、戦後生まれたもので、米国のテレビドラマが影響している。「パパは何でも知っている」

 

★戦後

・家族像は全国に浸透したが、バブルがはじけ、正社員になれない若者が増え始めた1990年代以降、変化が現れる。結婚できない若者が増えていった。

◎「パラサイト・シングル」(97) 学校後も親と同居し、基礎的生活を親に依存しながらリッチな生活を送る未婚の若者

・パラサイト・シングルの女性の間では、収入が高い男性が現れるまで親と同居しながら、結婚を待つ傾向が表れ、晩婚化、未婚化が進んだ。

・90年代からは離婚も増え始めた。

 

★現在

・現在、30代以下の若者が結婚する確率は75%。

・結婚した人の離婚率は35%。

・離婚せずに老後を迎える若者の割合は半分以下。

 

 そういえば、こんなデータがあったことを思い出しました。

★婚姻数のデータ(厚労省の人口動態統計から) 読売新聞(3月27日)

・婚姻数(2021年)は51万4242組(前年比4.2%減)戦後最少の水準

・コロナ禍で結婚を延期したり、結婚そのものをあきらめたりするケースが相次いだとみられる。

・外出や会食の自粛で「出会いの機会」が減っていることも大きい。

 

★離婚件数のデータ(厚労省の人口動態統計から) 日本経済新聞「プラス1」(5月14日)

・婚姻数(2021年)は52万5507組 離婚件数19万3253組 

 36.8%になるが、人口学的には意味がない。

・「人口千人当たりの離婚件数」は1.57(2020) 赤ちゃんから高齢者まで未婚既婚を問わず無作為抽出すると、同年に離婚届を出した人は1人ないし2人いる。

・「35年累積合計離婚率」28%(1985年以降結婚した夫婦の3組に1組弱が離婚)

・離婚した夫婦の平均同居期間は12年。最多は「5年未満」32.5% 

・離婚する男女は15年以内に7割近くが別れ、20年、30年と経過するにつれ減っていく。 

・戦後日本の夫婦で離婚の確率が最も高まったのは2000年代前半。

・パーセンテージで見れば足元では1990年代半ばの水準まで下がり、近年は日本で離婚が起きにくくなった。生涯未婚率の上昇とも関連がある。

・景気と離婚は密接な関係があり、一般的に離婚は不景気になると増える。 つづく