6月14日(火)読売新聞朝刊「ニュースの門」の「なぜか感じる 気配の不思議」の見出しが目に留まりました。
「見えないのに、何かが近くにいる気がする」のが「気配」ですよね。最近こんな経験をしたことはありますか?
「気配」は、「障害物などの危機を察知」するだけでなく、「他者の存在に気づく安心感を得る効果」もあるというのです。
★伊福部達名誉教授(東京大・福祉工学)の話
・気配とは、「太古の昔から、人類が周りの危険を察知して生き残るために備えた能力の一つ」
・視覚に障害がある人が聴覚で周囲の状況をかなり正確に把握できることを実験で示してきた。
・舌打ちした音や声の反響から、部屋の広さや障害物までの距離、近くにあるものが柔らかいかどうかまで当てられる。
・通常の生活でも、ざわざわとした周りの「雑音」が、人の移動や物によって遮られるのを聞き、「気配」として認識している。
★梶本裕之教授(電気通信大・VR学)の話
・体毛でも、風や静電気、水などの情報から周りの環境をある程度把握できる。
・腕の体毛を静電気で人工的に逆なですると、驚きを増幅できた。
★気配を駆使する生き物
◎ネコ 猫の視力は人の10分の1程度しかないが、ひげで風や気圧の変化を捉える。狭い通路を通り抜けられるかなどを察知する。
◎コウモリ 鼻や口から超音波を出し、跳ね返ってきたものを聞き取って障害物を認識する。コウモリは高精度に空間を認識し、障害物のすぐ近くを飛ぶことができる。
◎コオロギ 視覚以外に頭の2本の触角や尻尾の「尾葉」と呼ばれる気流を捉える器官を駆使して、周囲の状況を正確に把握し、障害物をよけることができる。
★NTTドコモの「気配通信」
・離れて暮らす家族らの生活音やにおいを自宅で流し、同じ室内にいるかのように感じさせる「気配通信」の研究を進めている。
・相手がキッチンに近づけば料理の臭いを出し、移動すれば足音を流すなど、気配を転送する試み。
★コクヨ(文具大手)の実験
・テレワーク先とオフィスを画面で常に接続しておくサービスの実証実験。
・実験では、画面の先に誰かいるという安心感が得られ、同僚などとのコミュニケーションが促進されることが確認された。
★視覚に障害がある人へのサポート
・「スマート白杖」 超音波が杖の持ち手の部分から照射され、周囲の障害物を検知すると手への振動で伝える。(インド工科大デリー校など、2014年開発)
・コオロギの触覚をヒントに、障害物を精度よく探知する白杖用センサーの開発(小川宏人教授・北海道大、神経行動学)
気配を感じる生き物や実験の話は、授業のまくらにいかがでしょう?こういう話に目を輝かせる子もいるはずですよ。
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