昨日の朝日新聞朝刊「月刊バスケットボール企画」は、女子日本代表を率いる恩塚亨監督を取り上げていました。
「〝不機嫌な鬼コーチ〟気づいた失敗」と言う見出しが目に留まりました。
★恩塚監督の履歴
・大分県出身。高校時代は県大会決勝で敗戦。筑波大卒業までプレー。
・2006年、東京医療保険大に新設されたばかりの女子バスケットボールの監督に就任。
・2012年、全日本選手権(インカレ)へ初出場。2017年日本一。2019年3連覇。
・2017年から女子日本代表コーチ兼任。昨夏東京五輪銀メダル獲得に貢献。
・五輪の終了後、代表のヘッドコーチ(監督)に昇格。
★当時の指導
・大学卒業後に指導者としての道を歩み始めると、寝る間も惜しんでバスケットの戦術や練習法を学んだ。
・「勝ちたいなら厳しくても当たり前」、「一流の指導者は大体不機嫌だ」
・「泣きごとを言うなら練習しろ」
・「俺がこれだけ頑張ってるんだから、お前たちもやれよ」と選手を責める心もあった。
・戦術を徹底させようとすればするほど、選手のあらを指摘するスタイルになり、それが愛情だとさえ思っていた。
・戦略通りに動けない、集中力が散漫な選手がいると、イライラを隠すことなくぶつけた。
「何回言ったら分かるの?」「自分ができてないの、分かってるよね?」
そう吐き捨て、練習ではコートを往復する罰走を選手に何度も科した。
★転機
・インカレ3連覇達成で誇らしいはずの表彰式で顔を引きつらせている3年生が目についた。なぜ喜ばないのか? 理由を尋ねると、思いもしない答えが返ってきた。
「主力の先輩が卒業して、来季も勝てるのかという不安の方が大きすぎる」
選手たちは、勝利へのプレッシャーでがんじがらめになっていた。
・もやもやした気持ちを抱えている間に、新型コロナウイルスの感染が国内でも広がる。
・バスケット部の活動を止まり、読書に没頭。
心理学、経営学、哲学、脳科学、子育てに関するノウハウ本、800冊以上。
★気づいたこと
・人は萎縮すればするほど視野が狭くなり、動きも堅くなる。
・選手のパフォーマンスを落としているのは、不機嫌な自分の態度ではないか。
★指導法の大きな変化
・コートに怒号が響くことはなくなった。
・選手には笑顔を向ける。
・目標はタイトルや数字ではなく、「どんな自分になりたいか」に変わった。
・それまで失敗を恐れてパスばかりしていた選手が、2020年冬のインカレ決勝で26点。大会最優秀選手に選ばれるまで成長した。
★恩塚監督の「指導者」としての心構え
・選手を頑張らせるのではなく、頑張りたくなるような環境・心境に導いてあげるのが、指導者の仕事。
・僕の失敗が、同じように苦しむ多くの指導者の気づきにつながれば。
自分の教室に「頑張りたくなる環境・心境」があるか?ドキッとする指摘ですね。
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