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No弐-418 仕掛学  

「仕掛学」と言うのをご存知でしょうか?昨日の読売新聞「ニュースの門」は「遊び心で行動変える」が目に留まりました。

 「コロナ禍で手洗いの励行やマスク着用など、いつもの行動パターンを変える機会が増えた。こうした『行動変容』を遊び心に訴えて促す『仕掛学』が注目されている」というのです。

 

★ボタン押し放題

・島田電機製作所(八王子市)の工場見学が親子連れの人気を集めている。

・壁一面に並ぶ1000以上のボタンの「押し放題」企画。

・「ボタンがあれば押したくなる」。そんな子供心を刺激する企画に、訪れた子供たちは夢中になってボタンを押しまくる。

・一番人気は「絶対に!押すな」と書かれた赤色のボタン。

 

★仕掛学

・仕掛学は、人に「つい、やりたくなる」きっかけを与え、行動を変えるように仕向ける手法を研究する学問分野。

・松村真宏教授(大阪大)が2011年に提唱。

・「人間には『好奇心には素直に従う』一方で、『指示通りに動くほど従順ではない』傾向がある」

・仕掛学では魅力的な行動の選択肢を示し、結果的に問題解決につなげることを狙う。

・仕掛学では、本人のやる気をアップさせるきっかけを「仕掛け」と定義する。

・仕掛けは、一部の人にしか響かなかったり、「慣れ」で効果が下がったり弱点もある。

 

★仕掛けの事例

①大阪大病院で、コロナ禍以前の2018年、手指のアルコール消毒を「ローマの休日」で有名になった「真実の口」の模型を使って実施すると、通常のボトル使用に比べて消毒する人の割合が約17倍増加。

 

②愛知県警常滑署は、県内のスーパーに「万引き防止 実験Ⅱ」「防カメピント調整」と店内の棚と床に提示すると、半年で万引き被害額が約3割減少。

 

③JTは、喫煙マナー向上のため、喫煙所に複数の鏡を立てかけ、通行人の視線や自身の立ち振る舞いを意識させ、ポイ捨てなどを防ぐ案が挙がっている。

 

★やる気に関係する脳の仕組み

・「やる気」には、ドーパミンを受け取る2種類の受容体が重要な役割を果たしている。

・サルを使った実験ではドーパミン受容体「D2」の働きを薬で弱めると、やる気が落ち、ご褒美がもらえるゲームを与えても、努力を面倒だと多い回避する傾向が強まった。

 

★スマホ依存

・仕掛学が狙う快感やわくわく感は、行き過ぎると心身の健康や人間関係に支障をきたすことがある。

・使いたくなるあらゆる仕掛けが施されていると言えるのがスマートフォン。

◎スマホ依存調査(2020年8月20~69歳5万人対象 KDDI総合研究所)

・1日当たりのスマホ利用時間 平日3時間7分、休日3時間38分(7~8%増加)

・ゲームに夢中になるゲーム障害5.9%(1.6倍増加)

 

・スマホ依存傾向のある人の脳活動パターンを人工知能で解析するなどして、依存の仕組みの解明を進めている。

・スマホの操作履歴や位置情報などから、依存状態を検知したり、利用時間を抑えたりできるアプリを開発し、24年度以降の実用化を目指している。

 

 仕掛学が学校現場にも活用されるといいですね。