5月14日(土)の読売新聞の「ニュースの門」は「教科書無償 込められた願い」でした。今日は、曲がり角を迎えている「教科書」に注目してみましょう。
★教科書無償の歴史
・教科書は戦前まで原則、各家庭で購入していた。
・貧しくて教科書を買えない子は書き写したり、「お古」を使ったりする例も多かった。
・小1の一部教科書が、初めて無償化せれたのは戦後間もない51年度のこと。
・その後、財政不足で停滞したが、69年度に完全実施された。
★欧米と日本の違い
・欧米は無償の「貸与」が中心。米国では教科書を学校に返却し、汚損した場合は保護者が弁償することもある。(二宮晧名誉教授(広島大・比較・国際教育学)
・日本では、国が教科書を買い上げている。
教科書研究センターの資料では、無償貸与の国は、日本以外はポーランド、中国、韓国(中国、韓国は教科や学年で異なる)だけです。クイズにできそうですね。
★小学校1年生の教科書の価格(2021年度、教科書協会)
・国語(344円)算数(337円)生活(922円)図工(225円)音楽(226円)道徳(319円)書写(165円)計2538円
・協会は「週刊誌や文庫本より安い」と値上げを要望している。
★小学校教科書の総ページ数の推移
2005(4857ページ)→2011(5916ページ)→2018(7587ページ)→2020(8520ページ)
・15年前に比べて75%増えた。
★教科書ができるまで
・教科書会社は学習指導要領に基づいて教科書を編集し、国のチェック(検定)を受けて発行する。
・おおむね1年ごとに①編集作業②検定③自治体などが選ぶーというサイクルで、この後現場で使われる。
・公立小中学校で使う教科書は、主に自治体単位で選び、「採択」という。地域で実力のある教員の意見が反映されやすい。
★教科書会社の経営環境の悪化
・小中高校生の数減少 約2230万人(1985)→約1270万人(2020)約4割減少
・教科書需要冊数 約2億1900万冊→1億3700万冊 急減
・教科書会社数の減少 66社(1985)→51社(2021)「大阪書籍」「日本書籍」撤退
・「教科書会社が減り、寡占化が進めば現場の選択肢を減らし、教育の質を下げかねない」(教科書研究センター事務局長)
・デジタル教科書では、音声読み上げ機能など新たな開発コストがかかり、大判化や資材高で作成費用が上がる。
「教科書が本格的にデジタル化されれば、さらに撤退する社が増えるだろう」(教科書会社幹部)
教科書についての新しい発見は、まくらにできそうですね。
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