· 

No弐-414  文楽あれこれ2

 今日も文楽を話題にしたいと思います。今日は、実際に観て印象に残ったこと、疑問に思って調べたことをクイズにしてみました。

 人形浄瑠璃は、「3種類のプロフェッショナルの協力によって成り立つ高度な総合舞台芸術」と言われています。3種類のプロとは、浄瑠璃を語る太夫、三味線弾き、人形遣いです。 

 

Q1 太夫と三味線弾きは、上手(右側)にある客席へななめにせり出したスペースに座っていました。このスペースを何というでしょう? ①演台 ②床 ③張り出し

 

Q2 文楽の舞台の人形を見やすくするための工夫とは、何でしょう?

①掘り下げ ②盆回し ③船底

 

Q3 太夫や三味線の入れ替わりの時に、座布団を並べたり、楽器を渡したり、舞台にも黒い頭巾をかぶった人が何人も動いていました。「くろご」といいます。正しい漢字はどれでしょう? ①黒後 ②黒子 ③黒衣

 

Q4 場面ごとに芝居が始まる前、上手側に立って演目と出演者を紹介する「口上」をくろごが言っていました。最初に何というでしょう?

①とざい、とーざい… ②しばらく、しばらく… ③さぁ、さぁ、さぁ…

 

Q5 太夫は、見台(けんだい)の上に台本を載せていました。この台本を何と言うでしょう? ①教本 ②床本 ③筋本

 

Q6 太夫と三味線弾きの衣装は原則どちらが用意するのでしょう?

①太夫 ②三味線弾き ③年齢が上の方

 

Q7 人形のかしらと右手を動かす人を何というでしょう?

①主(おも)遣い ②頭(あたま)遣い ③首(かしら)遣い

 

Q8 私が観た作品は「桂川連理の柵」と言う物語でした。さて何と読むでしょう。

かつらがわれんりの ①とりで ②さく ③しがらみ

 

Q1 ②床 さらに床には「盆回し」という回転する仕掛けがありました。

 

Q2 ③船底 舞台の一部を掘り下げて、人形遣いが高く差し上げて人形を客席から見やすくしています。客席側から地面に見立てた「手摺(てすり)」という板もありました。

 

Q3 ③黒衣 文楽の頭巾は上が尖っていて三角型、歌舞伎の頭巾は平たい四角型。

表に出ないで陰で支えたり下働きをしたりすることを「黒衣に徹する」といいますよね。

 

Q4 ①とざい、とーざい… その前に「柝(き)」という2本の角材を打ち鳴らす音が始まりの合図です。「東西、東西」と声をかけることを「東西声(とうざいごえ)」といいます。

 相撲でも結びの一番で「呼び出し」が言うのを思い出しました。

 

Q5 ②床本 この床本は原則として太夫自らによって書かれ、単に登場人物のセリフだけでなく、心理や情景までもすべて書き込まれているそうです。

 語り始めと終わりに床本を両手で上に差し上げました。先人、作者への感謝と舞台の成功を祈るためだそうです。

 お尻の下に敷く「尻引き(しりひき)」もありました。また、太夫は大きな声を出すために腹帯を巻くんだそうです。

 

Q6 ①太夫 演奏時に着用する肩衣と袴は、太夫が三味線弾きの分も用意するのが原則です。2人の着物の色が同じでした。江戸時代の武士の服装がまだ引き継がれているのですね。

 

Q7  ①主(おも)遣い 足遣いが楽に作業できるよう、高い下駄を履いているそうですが、実際には見えませんでした。

 左遣いは、人形の左手を操り、小道具を出したりします。左手の動きが退屈そうで気になりました。足遣いは、足を操り、足音も鳴らしていました。

 人形の大きさは、1m30~50cmほどです。指先、眉毛、目、舌、髪、腹なども個別に動くそうなので、一番前の席は満席でした。今度は、ぜひこの席で観たいと思います。

 

Q8 ③しがらみ 「かつらがわれんりのしがらみ」です。

 「柵」を辞書で引くと、「①水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの。②まとわりついてはなれないもの。じゃまするもの。」と書かれてあります。

 「世間は柵(しがらみ)が多い」などとも使います。

 また、「とりで」「やらい」とも読むようです。

 

★桂川連理の柵

「浄瑠璃。世話物。2巻。菅専助作。安永5 (1776) 年大坂北堀江市の側芝居豊竹此吉座初演。宮薗節『朧の桂川』など先行のお半長右衛門情話を脚色したもの。

 信濃屋の娘お半は、隣家の帯屋の主人長右衛門と伊勢参りの旅宿で泊り合せたのを縁に契りを結ぶ。

 長右衛門の貞淑な女房お絹が2人の身を案じるものの、親子ほどに年の違う2人の仲に長右衛門の苦悩は深まるばかり、ついには,長右衛門がさる武家屋敷から預っていた刀を信濃屋のでっちにすりかえられたことやお半の懐妊で進退きわまり、お絹に心を残しつつ、お半と桂川で心中する。

 特に「帯屋」の段が有名で、歌舞伎でもたびたび上演されている。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典) 

 ちょっと子どもに語れないのが残念!