今日の読売新聞朝刊にあった磯田道史先生の「古今をちこち」の「戦国時代に『地球は球体』」が興味深かったので、紹介します。
戦国時代と言えば織田信長。彼は、ヨーロッパ人宣教師から地球儀をもらい、地球は球体と理解していました。
★信長の天文地理学習会
・信長はオルガンティーノ司祭とロレンソ修道士を多くの武将の前に呼び、外にいる者も聞けるように彼らがいた広間の窓を開けさせてたうえで、地球儀をふたたびそこへ持ってこさせ、それについて多くの質問をし、反論した。
・信長は地球儀を皆に見せ、家中の意識化企画を図った。
・宣教師の宇宙の知識は、仏僧らのそれと大いに異なっているのをみせつけた。
・信長は、来世はなく、見えるもの以外には何ものも存在しないことを確信していた。
・見えない神と霊魂は信じなかったが、天文地理の話は信じた。
★信長と宣教師
・信長はオルガンティーノとロレンソに会うのが好きで、何度も呼び、一度呼べば3時間も話した。
・給仕と称して、子どもまで同席させた。
・信長は、まがい物を生理的に嫌う。
・宇宙観や世界知識が正しそうだから、キリスト教宣教師は厚遇した面がある。
★イエズス会と宇宙論
・戦国時代の時分から日本人は好奇心が強く、宇宙論が好きだった。
・イエズス会は最初から日本人の性質に気付き、布教の戦略として、意図的に宇宙論を提供していたとの指摘もある。
・「地球が円いこと」をザビエルが教えると日本人は大変満足して喜び、宣教師を学識のある者だと思い、話を信じる。
・「日本人は、天体の運行・日蝕・月の満ち欠けなどについて知るのを大変喜びます」(ザビエル書簡)
・イエズス会はのちにゴメスと言う科学者を送り、緻密な宇宙論の講義を日本国内のコレジオ(学院)で行った。
・ゴメスは「天球論」と言う宇宙教科書まで書き、日本語訳もあったらしい。
★当時の日本人の宇宙観
①仏教系はインドの「須弥山(しゅみせん)思想」。太陽が須弥山の周りをグルグル回る。
②儒教系は中国の「天円地方説」。天は円形で地は方形と考える。
・200年前になると、「世界は弾丸のごとく」動いていて球体だと知っているようになった。
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