4日目です。最終日です。今日も、読売新聞朝刊に「デジタル教科書を問う 端末導入1年」からです。
④「操作に熱中 集中力そぐ」「多様な機能 使い方次第」(4月21日)
・昨年夏休み明け、東北地方の6年生、デジタル教科書を使い始めると、何人かの児童から「頭に入りにくい」と言う訴えがあった。
・神奈川県の小学校の英語の授業。デジタル教科書を使うが、児童は画面の移動やページの拡大などの端末操作自体に熱中してしまう。
★デジタル教科書使用の課題(読売新聞アンケート調査)
・授業に関係にない操作に集中(62%)
★河原純一郎教授(北大・認知行動科学)の研究
・パソコンのモニター上に様々な図形を映し出し、「T」を見つけ出す時間を測定(2016)。
スマホを近くに置いた人の平均3.63秒、メモ帳を置いた人の平均3.05秒。
・スマホがそばにあるだけで「メールが来ないか」などと気を取られて注意力が低下する。
・「デジタル教書書を使う端末でインターネットを使えれば、大人より自制心の低い子供はネットに気を取られてしまう恐れがある」
★スペインの研究
・00年~17年に紙とデジタル画面で文章を理解する力を調べた論文54本を分析。
情報量の多い論説文は、紙の方が理解度が高い傾向が見られた。
★斎藤孝教授(明治大・教育学)の話
・紙の教科書にはこれだけは絶対に身に付けるべきだという内容が厳選されており、学習の基本となる。
・端末やデジタル教科書には検索機能や文字の拡大などの良さもある。
・紙の教科書軽視とならないように紙とデジタルを効果的に使い分けることが望ましい。
一昨日の朝日・読売両新聞には、文科省のアンケート結果が載っていました。
★「デジタル教科書実証事業アンケート結果」(2021年度・文科省 小中高生約58000人・教員約36000人)
・「デジタル教科書で勉強を楽しいと感じたるようになった」→「あてはまる」「少しあてはまる」全教科で半数以上。小学生は理科(79.7%)、中学生は美術(72.0%)が最多。
・「色々な情報を集めやすい」
・「図や写真が見やすい」小中学生とも5割超。紙を30~50ポイント上回る。
・「書き込みやすい」「自分の学んだことを残しやすい」紙の方が10~40ポイント高い。
・教員の使用頻度「使わない週もある」(54.4%)
・「デジタル教書を使用する際に不便に感じた点」→「フリーズ、エラー対処が必要」(48.5%)、「児童生徒が授業と関係ない操作に集中することがある」(45.0%)
★バトラー後藤裕子教授(米ペンシルバニア大大学院)の話
・「分析的に読む必要がある場合は紙の方がパフォーマンスが高い」
・大人を中心とした英語の読解では、端末と紙媒体の違いにつては全体的に差がない。
・細部の情報を記憶したり、推測したりしながら分析的に読む必要がある場合は、紙の方がパフォーマンスが高い。
・ジャンルでは、フィクションは差がないが、説明文では紙の読解が優位。
・情報過多の中でたまたま自分が目にした情報だけに満足してしまう児童生徒も少なくない。
大事なのは、「デジタルは使い方次第」で「教科書『を』教えるのではない」ということです。
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