先日図書館に行った時、毎日新聞朝刊(3月24日)「科学の森」の「鳥は会話ができるのか?」が目に留まりました。S先生のがるべる講座で教わった「バード・ウオッチング」のことが思い出されました。
鈴木俊貴・特定助教(京大白眉センター)の実験室は、長野県軽井沢の森の中にあるそうです。
★実験のきっかけ
・対象は、体長15㎝ほどの小鳥「シジュウカラ」。
・シジュウカラに注目したのは、東邦大理学部2年生の頃、卒業研究のテーマを探すため、軽井沢の大学の山荘に籠る。
・群れの1羽が突如「ヒーヒー」と特徴的な鳴き声を出すと、群れが一斉に飛び立った。直後、上空に天敵のタカがきたが、群れは逃げ切れた。
・これを見て「鳴き声を使い分けている」と確信し、実験を開始。
・証明は難しく、16年間、1年の6~8カ月を森の中で過ごす。
★「単語」の認識
・天敵のヘビに対して発する「ジャージャー」という鳴き声が「ヘビ」を示すと考えて実験開始。
①ヘビの剥製を巣箱の上において観察すると「ジャージャー」と鳴いた。
タカの剥製では、「ヒーヒー」と鳴く。
②録音した「ジャージャー」の鳴き声をスピーカーから流すと、ヘビを探すように巣箱の下や地面に目を向けたが、反射的に下を向く性質があるから、これだけでは証明にならない。
③ひもを付けた棒を木の幹に沿ってつるし、「ジャージャー」と言う鳴き声をスピーカーから聞かせながら、木を這い上がるヘビのように、棒を引き上げる。
・ほとんどの場合でシジュウカラは棒に接近し、確認する行動を見せたが、他の鳴き声ではなかった。
・「ジャージャー」と聞くとヘビを思い描き、棒をヘビだと見間違えたのだと考えられた。
・この研究成果の論文は、米科学誌に掲載された。
★「文法」の認識
・天敵を追い払う際の「ピーツピ(警戒して)・ヂヂヂヂ(集まれ)」を聞くと、周りを警戒しながら天敵のそばに集まり威嚇することに注目。
①語順を入れ替え「ヂヂヂヂ・ピーツピ」では、警戒も集まりもしなかった。
・単語の順番を「2語文」という文法で認識している可能性があった。
②実験のヒントは、ルー大柴さんの「ルー語」(日本語の文の一部の単語を英語に置き換える)。
・シジュウカラに交じって群れをつくり、他害の言葉を理解する小鳥「コガラ」に注目。
・「ピーツピ・ディーディー(コガラの「集まれ」の鳴き声)」を聞かせると、警戒しながら集まった。
・文法が正しければ、鳴き声の一部を替えても正しく読み取ることができる。
★人と動物の共生
・アフリカの「ミツオシエ」という鳥は、人のところへやってきた「ギギギギ」と鳴き声を出し、蜂の巣の場所まで案内する。
・途中で見失っても人が「ブルルル」と歌うと戻ってきて案内を続ける。
・見返りとして人から蜂の巣をもらう。
・人と動物も「共生」関係にあれば言語を通した意思疎通が可能では?
・他の動物たちは種が異なっても言葉を理解しあっている可能性もある。
・「言葉を持っているのでは」とされる動物の報告例は数々あったが、まだ証明はできていない。
この研究から動物のコミュニケーションがさらに明らかになることに注目していきたいですね。
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