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No弐-363 子育てしながら卒業

  昨日紹介した「西成高校の巣立ち」(朝日新聞朝刊3月20日)の記事には、2枚の写真がありました。1枚は、担任だった先生と沖本さんが握手する写真、その下に女性の先生と涙ながらに抱き合う生徒の写真です。

 今日は、この生徒ヨナハさんに注目してみます。(朝日新聞朝刊3月20日・21日)

・ヨナハさんは、子育てしながら学校に通った。娘はまもなく1歳半になる。

 

・1年生の春休み、妊娠が分かった。

・「授かった命を育てたい」と思ったが、批判が怖くて、交際相手以外には隠した。

・新型コロナの一斉休校が重なり、誰にも悟られることもなかった。

・学校に伝えたのは、妊娠7か月のころ。担任の先生ら4人の女性の教員との会議が開かれた。「子どもを産み、留年せずに学校を続けたい」。

・体育は見学、代わりにリポート課題。出産予定日の5週間前から出席停止。休み中は各教科の先生から課題。

 

・2年生の11月5日、元気な女の子を出産。

 「私が守る。楽しい思いをたくさんさせてあげたい」

 「自分のためにも、これだけ動いてくれた先生のためにも、絶対に卒業する」

・朝5時半に起き、制服に着替えて保育園の連絡帳を書く。

・ぐずる娘に朝食を食べさせ、だっこひもで抱えて家を出る。

・2本の地下鉄を乗り継いで保育園に送り、学校に自転車を飛ばす。

 

・現実はパニックの連続。夜泣きで1時間おきに起こされ、眠れない。泣いている理由が分からない。

・パートナーには別れ話をされた。母親との親子げんかが絶えなかった。

・予想もしなかったつらさを、放課後に担任の女性の先生(28)にぶつけると、涙を流しながら聴いてくれた。

 

・3年生の春、7月の体育祭に向けての話し合いがあり、先生から背中を押され、憧れだった応援団長になり、13人と団を結成。団員には、娘のことを伝えた。

・約3カ月、朝と放課後に練習した。放課後は練習を早く抜け、6時に保育園へ。

・娘に離乳食を食べさせ、寝かしつけた後、布団の中でパソコンを開いて曲を編集。

・ダンスのメンバーの配置は休み時間に考えた。

・体育祭当日、歓声に包まれながら踊り、演舞では太鼓をたたいた。

・後輩が「(ヨナハさんが)団長でよかったです」と言ってくれた。

 

・今は娘と2人で、母子生活支援施設で暮らしている。

・卒業後は美容系の情報を発信する会社で働く。

・「いつか娘に『ママは学校も頑張ったんだよ』って話せたらいいな」

 

 いろんな子がいます。それを受け容れる、寄り添える先生でありたいですね。