今日は、朝日新聞教育欄に連載された「コロナと子ども」の残りの2つの記事からです。
はじめに、「教育社会学」の立場から、5回(3月13日)の中村高康教授(東大大学院)の話です。
★一斉休校中の子どもの学習状況調査
・「勉強を手伝ってもらえなかった割合」は、シングルマザーで非大卒世帯の子は高く、両親とも大卒の子は低かった。
・「オンラインの学習教材を使えるように手助けした割合」は、両親とも大卒で在宅勤務していた層は、非大卒で非在宅の層より高い。
・大卒の住む比率が高い市区町村の教委は、オンラインで課題を配信したり、独自の問題集などを使って配布したりする割合が高い傾向。
・「学校から配布されたプリント学習や宿題に取り組んだ割合」は、大卒・非大卒の層で比較的差は小さかった。
★格差が生む弊害と教育現場のケア
・分断を生んでお互いが対立すると、社会が不安定化する。
・不利益を被っていた層がコロナによってさらに重荷を背負ってしまい、分断を深める契機にもなり得る。
・弱い人にしわ寄せがいきがちであることを、先生たちは頭の中に入れておいてほしい。
・コロナ対策のノウハウに「休校でダメージを受けやすい子への配慮」を加えてほしい。
次に、「子どもの居場所と親のケア」の立場から、6回(3月15日)の今村久美さん(NPO法人カタリバ代表理事)の話です。
★オンラインの「居場所」活動立ち上げ
・休校要請が出た日、家で過ごす子どもたちに参加できる場を作ろう。
・Zoomを使って、世界中からボランティアを募って子ども向けのプログラムを提供。
・英語や算数、国語、ダンス、ヨガなど。
・3月4日開始から半年で約2000人の子どもが参加。
・保護者と子が家庭という外から介入しにくい閉鎖的な空間に閉じ込められることで、虐待など様々なリスクにつながるかもしれない。
・学校は学ぶ場であると同時に親の価値観から抜け出せる場でもある。
・家庭から一時離れ、先生や友達と過ごせる公共空間であることが学校の持つ大きな機能。
・マスクを外して家庭以外の誰かとつながることは、子どもにとって前向きになる。
・子どもが目的のないおしゃべりができる余白をもって人とつながる時間を持てることが大切。
★大人のケア
・親にとっても子どもがいない時間は一個人になれる時間。
・子どもが学ぶ意欲を持つ前提に、親の心が安定している必要がある。
・職場環境が変わることやこれからの生活再建に悩みを抱える大人もいる。
・経済的困難を抱え、WiFi環境がない家庭も少なくない。
・生活困窮対象者のパソコンとWiFi無償貸与して子どもの学習支援、親の相談対応。
・不登校へのオンラインプログラム開始。親子にそれぞれメンター(助言者)サポート。
コロナ禍で困難を抱える家庭に目が行き届く社会、温かい教育であってほしいと切に望みます。
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