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No弐-354 ルドルフと斎藤洋さん

  今日の朝日新聞朝刊「生活」欄の「きみが生まれた日」に「ルドルフとイッパイアッテナ」の誕生秘話を紹介した作者の斎藤洋さんの記事がありました。

 実は、私はこの作品が大好きで、脚本を書き、学芸会で2回公演しました。

★ルドルフが生まれたのは、偶然と運

・1986年2月10日。大学のドイツ語の非常勤講師をしていた斎藤さんは、いつものように電車に乗ろうとした時、文庫本を忘れたことに気付き、改札口の売店で夕刊を買いました。

・そこに載っていたのが、講談社の児童文学新人賞の募集広告。

・数日後、児童詩を書く友人に教えてあげたが興味を示しませんでした。

・それで、賞金30万円にひかれて、自分が応募しようと思ったそうです。

・30代半ばで非正規雇用で将来に不安もあり、原稿用紙60枚からなら書けると思ったそうです。

 

・ところが書くことがなく、浮かんだのは、研究していたドイツの作家のホフマン。

・ホフマンの小説に、字を書くねこが主人公の「牡猫ムルの人生観」と言う話がある。

・ねこが書いた自伝にしようと思い、書くなら少年の成長期(ドイツ文学定番の「教養小説」)。

・これに日本で人気の「忠臣蔵」の要素を加えたらおもしろいんじゃないか。

・ねこが字を書いて、大きくなったら仕返しをする流れが決まります。

・締め切りは5月。3カ月で書きましたが、ほとんど覚えていないそうです。

・見事に新人賞を射止めます。

 

★モデルのねこ

・大学生の時、近所にいた大きな黒ねこ。

・飼っている金魚を狙うなど、いたずらばかり。

・犬を追いかけるのを見たこともある。

・少し驚かせてやろうと、捕まえようとしたが、うまくいかない。

・餌付け作戦をするうちに仲良くなる。手から煮干しを食べ、部屋にもあがるようになる。

・しかし、1年ぐらいで、ふらっといなくなってしまった。

 

★ルドルフ誕生秘話

・そんな話をしたからか、ある時、奥さんが黒猫のぬいぐるみを買ってきたそうです。

・当時、コーヒーのCMで「ベルギーのロドルフ殿下も飲んでいる」とよく流れていて、それが「ルドルフ殿下」に聞こえ、「ルドルフ」と名付けたそうです。

・ルドルフの名前はこのぬいぐるみからでした。

 

 斎藤さんは今年で70歳。書く時は、常に「この作品で新人賞が取れるか」を考えるんだそうです。

 「これまで書いてないテーマ挑戦したい」なんて見習いたいです。

 またこの人の作品の脚本を書いてみたくなりました。