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No弐-351 大相撲の安全対策

 今日から大相撲春場所が始まりますね。3年ぶりの有観客だそうです。

 ご存知の通り、「荒れる春場所」とも言われ、大阪で開催されます。大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)が会場です。

 昨日は、「長生きスポーツ」を紹介しましたが、そう言えば、同じ日の朝日新聞別冊「be」(2月12日)の「be report」に「力士のけが」の記事があったのを思い出しました。今日は、これを紹介します。

 

・力士同士がぶつかる際に受ける力は、瞬間的に1トンの重りがのしかかるのに等しいと言われる。

・力士の大型化が進み、近年の幕内平均体重は160㎏台に達しており、衝撃が増していることが懸念される。

 

★最近の力士のけが

①19年九州場所 幕内友風が土俵下に着地した際、右ひざの関節が外れ、骨折や靭帯断裂などの大けが。

 

②21年春場所 三段目の力士が投げを受けた際、頭部から土俵に落ち、頭や首を負傷。救急搬送され、1か月後亡くなる。

 

③21年名古屋場所 大関貴景勝闘が立ち合いで首を負傷。力なく土俵を割り、その場に倒れ込む。

 

④22年初場所 幕内宇良が後ろ向きに土俵下に転落。後頭部を床に打ち付け、動けなくなった。

 その後ようやく立ち上がり、脳震盪を起こしたようでふらつく。

 呼び出しに支えられながら一礼して土俵を降りると花道から車いすで引き上げた。

 国技館では、宇良に対して温かい拍手が沸いたが、ネット上では批判的なコメントも。

「なぜ医師が駆けつけない?」「担架で運ぶ処置はできなかったのか?」

 安全対策が不十分ではないか、という議論が目立った。

 

★大相撲の安全対策

・土俵脇に医師はいない。

・国技館には一般の人も使える診療所があるが、遠い花道からだと数百メートル日の通路を抜け、エレベーターの乗る必要がある。

・医師が土俵に駆け付けるまで5分以上かかる。

 

・土俵脇の審判、行事らを対象に応急処置の講習会を開く。

・けがをしにくい稽古や食事を研究する専門委員会を作る。

 

★安全対策の提言

①諌山和夫さん(総合格闘技のリングドクター・脳神経外科医)

・最低でも、頭部外傷の直後はドクターが診るべき。

・けがの状況を見ておくためにも砂かぶりにドクターが待機するのがベスト。

・復帰に向けたプログラムを作ることは絶対に必要。

 

②やくみつるさん(相撲通の漫画家)

・高さ約60㎝の土俵の周囲に、衝撃を吸収する柔らかいマットを敷いてはどうか。

・大相撲の文化を改悪することにはならない。

 

③イワノワ・ニコライ・ユーリィビッチさん(元幕内阿夢露・トレーナー)

・稽古の工夫が必要。専門トレーナーの指導を取り入れてはどうか。

・柔軟性を高めるストレッチや体の部位ごとに強化するトレーニングで、けがをしにくい体作り。

・「公傷制度」(乱用を疑われる例が続いた経緯から廃止)の復活。

 

 伝統も大切ですが、改善も必要だと思います。あの升席は何とかならないんでしょうかね?といつも思います。