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No弐-339 自分の呼び方

 3月1日です。春が大分近づいてきましたね。今日の読売新聞朝刊「くらし 家庭」の「関心アリ!」は「子ども 自分をどう呼ぶ?」が目に留まりました。

 僕・わたし・うち・ワシ…。

 皆さんは、自分のことを人に話すとき、何て言ってますか?

 小さい時は何て言ってましたか?

 意識していなかったのですが、今は「わたし」が多いかな?時々酒が入ると「俺」。小さい頃は「僕」だったような気がします。

 

・「低学年の女児は半数が『わたし』と言えず、自分の名前を呼んでいる。それが恥ずかしいことだと自覚している様子で、発表回数も少ないように感じる」(山梨市内小学校勤務60代女性教員) 皆さんの学校でも同じことを感じますか?

 

・自らを指す言葉は「自称詞」という。自称詞は自己表現と結びついた大切な言葉。

・英語の「I」とは違い、日本語は1人称に加え、先生・ママなど職業や名称を含めて無数にある。

・一般的には成長とともに言葉遣いを習得する中で、自分の性別や年齢を意識し、相手との親密度や場面などに応じて使い分けるようになる。

 

★守秀子さん(文化学院長野保育専門学校主任教授)の調査研究(2015)

・長野市と近郊の幼稚園・保育園に通う1576人対象。

・男女ともに2歳ごろから名前や「○○ちゃん」などの愛称を名乗る。

◎年長児の自分の呼び方

 男児「俺」35%、「僕」30%、「名前、愛称」32%、「うち」1%、「使わない」2%

 女児「わたし」35%、「名前、愛称」63%、「うち」1%、「使わない」1%

・「『俺』は『僕』に比べて男らしさをアピールしやすく、男児は成長過程で選ぶことができる。

 女児は大人の女性と同じ『わたし』だけ。使う際のハードルも高く、名前や愛称を使う方が自分自身を言い表しやすいと感じているのでは」(守さん)

 

・男女ともに自称詞が使いづらい理由は、男らしさや女らしさを強調したり、相手との上下関係を提示したりする観念や意味合いが多く含まれているからで、自分のアイデンティティーをぴったり表現することができないからだろう。(中村桃子教授・関東学院大・言語学)

 

★「場面に応じたふさわしい言い方」(「敬語の方針」文化庁文化審議委員会・2007)

・基本的には「僕」は男性が日常の生活で用いる言葉であり、「わたし」はやや改まった場面で「私(わたくし)」はさらに改まった公的な場面などで用いられる。

 

 年長児の男児に「俺」が多いのには驚きました。文豪道場でも1人称は何にするかは大切にしてきました。

 「どういう自称詞を選ぶかはジェンダーや自己認識とも深く関わっている。聞き手の関係性を意識しながら、自分を表すのにふさわしいと思える言葉が重要」(蒲谷宏教授・早稲田大・日本語学)と指摘していますが、子どもたちに「自分を表すのにふさわしいと思える言葉」を考えさせてみてはいかがでしょう?

 

 1人称ってこんなあるんですよ。

★1人称70種  「KOTONOHA ウェブ」より

 わたくし、私(わたし)、あたし、あたくし、あたい、わし、俺(おれ)、おら、俺様、おいら、おれっち、自分、僕(ぼく)、おい、おいどん、うれ、ぼくちゃん・ぼくちん、わ・わー、わえ、わて、わい、こち、こっち、こちら、内(うち)、おりやぁ・ぼかぁ・わたしゃ、手前、あちき、わっち、わたしめ、わたくしめ、あっし、朕(ちん)、こなた、こちとら、某(それがし)、なにがし、やつがれ、小生(しょうせい)、愚生(ぐせい)、わらわ、まろ、よ、わがはい、拙者(せっしゃ)、身共(みども)、あ、な、われ、おのれ、吾人(ごじん)、不肖(ふしょう)、非才(ひさい)、不才(ふさい)、不佞(ふねい)、愚僧(ぐそう)、拙僧(せっそう)、愚禿(ぐとく)、本官(ほんかん)、小官(しょうかん)、本職(ほんしょく)、小職(しょうしょく)、当方(とうほう)、下名(かめい)、当職(とうしょく)、弊職(へいしょく)、当、弊、当局、こちら