· 

No弐-317 北京冬季オリンピック4

  昨日は、スキー・ジャンプの小林陵侑選手に注目して、応援していました。長野大会(1998)以来24年ぶり、6大会ぶりの金メダル。札幌大会(1972)で笠谷選手ら「日の丸飛行隊」が表彰台を独占した1972年2月6日からちょうど50年だったんですね。

 期待されて、結果を出せるということがいかに難しいことか。才能と努力と運も味方に付けなければならないのですからすごいことです。

 

 2月4日(金)読売新聞朝刊の「超人の科学」が面白かったので紹介します。

・ジャンプの動作は、主に「助走」「踏み切り」「飛行」「着地」の局面に分けられ、それぞれ高い技術が要求される。

・選手は時速約90kmで助走し、長さ約7mの踏み切り台を約0.3秒で通過する。

・約4秒間の飛行の局面では重力のほか、風を受けて体を持ち上げる「揚力」、減速させる「抗力」など空気の力が複雑に絡む。

・踏み切り直後、選手は強い風圧あおられるが、同程度の「前回りの力」をかけ、前傾姿勢を作る。

・前回りの力は、脚で垂直に立つ「床反力」と「その垂線から重心までの最短距離」のかけ算で決まる。

・ジャンプは空気の力を味方につける必要がある。秒速3mの向かい風なら無風に比べて10~20m遠くに飛べるとされる。

 

★小林選手の強み

・踏み切りから素早く(0.45秒)飛行姿勢に移ることができる。

・着地直前までスピードが落ちない姿勢を維持できる。

・抗力は踏切直後に一般選手より高まるが、素早く姿勢が安定し、すぐに下回る。

・揚力は飛行の後半ほど大きくなる。

・一般選手は頭の後ろから気流が乱れるが、小林選手は頭から背中にかけて体に沿うように空気が流れ、背後の乱れが小さい。

 金メダル獲得には、確かな技術の裏付けがあったんですね。

 

 もう一つ。明日では遅いと思うので今日紹介しておきますね。

 昨日の読売新聞朝刊の「超人の科学」は、「4回転半 成功の条件」でした。羽生選手のショートプログラムは、明日13時19分、30人中21番目だそうです。

★羽生選手 4回転半成功の条件

・フィギュアのジャンプは、走り高跳びより走り幅跳びに近い。

・ジャンプの成功に重要なのは滞空時間。ポイントは①踏み切り速度②角度③飛距離。

 

①助走が速いほど滞空時間は伸びる。

・踏み切りで尻やハムストリングが生むエネルギーは回転力にもなる。

・「アクセル」は、他のジャンプに比べて速さが重要。羽生選手のサルコーは時速18.9km、アクセルは時速25km。

 

②踏み切り角度は、羽生選手は22~23度が多い。陸上走り幅跳び世界記録(8m95㎝)保持者のマイク・パウエル(米)の踏み切りとほぼ同じ。

・全日本選手権では26度だった。「上向きに飛ぶと、重力に抗するエネルギーのロスが大きい」

・角度を戻し、滞空時間を稼げれば、4回転半に近づく。

 

 踏み切り速度は時速25km以上、踏み切り角度を22~23度、飛距離を50㎝伸ばし3.6mの条件がクリアできれば、夢と思われた4回転半は計算上飛べるそうです。期待しましょう。