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No弐-293 句点の効果  

 今日の読売新聞朝刊「ニュースの門」の見出しは、「「。」つけて 締めていこう。」でした。これだけなら何にことだかわかりませんよね?

 昨年10月の衆院選の主要政党が掲げたキャッチコピーの大半に「。」がついていたというのです。ご存知でしたか?

 

★衆院選

 主要9党のうち7党は句点があった。

・「変えよう。」(立憲民主党)、新執行部発足時は「さあ、力を合わせて。」 

・「新しい時代を皆さんとともに。」(自民党)

・「日本再生へ新たな挑戦。」(公明党) 見た目の収まりが良いと考えた。

・「なにより、いのち。」(共産党)

・「身を切る改革、実行中。維新はやる。政治家のあり方を変える。」(日本維新の会)

・「何があっても心配するな。」(れいわ新選組)

 言い切ることで、意志の強さを表現した。 

 

★句点の効果

・メッセージ性を強める。言い切る形で決意を表現。まとまりや締まりがいい。「!」に代わる流行・近年の定番

・「「。」をつけると余白が生まれ、ポスターの中でコピーが浮かび上がる。

読んだ時には一拍おいて余韻を残し、想像を膨らませてもらえる」(月刊「宣伝会議」編集長の谷口さん)

 

★句点ブーム

・1980年代、広告に「句点ブーム」が起こった。

 コピーライターの糸井重里氏による「おいしい生活。」(82年、西武百貨店) などの名コピーがきっかけ。

 「好きだから、あげる。」(丸い)

 「おしりだって、洗ってほしい。」(TOTO)

 「くうねるあそぶ。」(日産自動車)

 「恋を何年、休んでますか。」(伊勢丹)

★政治の世界で句点の活用

・句点を付けることでメッセージ性を強調する技法は、広告社会などを通じて、政治の世界に持ち込まれた。

・1990年代、政党広告が活発化し、句点も多様化されるようになる。

・「改革は止めるな。」2005年小泉首相が郵政民営化を訴え、自民党が圧勝した時のコピー。

 「日本を、取り戻す。」(自民党)

・「政権交代。」2009年民主党が政権を奪取した時のコピー。「国民の生活が第一。」(民主党)

・日本の国政選挙の場合、政党の政策、公約の発表から投開票日まで、数週間から1、2か月程度で、候補者の主張を聞く機会が限られる。

 ポスターや紙の広告の比重が大きくなるため、コピーの「。」のような視覚効果が意味を持つ。 

 

★「。」に代わるキャッチコピー

・「#令和デモクラシー」2019年立憲民主党参院選 

 「SNSは流行の移り変わりが激しく、ハッシュタグは「生き物」。ポスターのコピーには不向きだった。」(担当者)

・出版業界では、ビジネス書などで説明的な「長文タイトル」が流行中。

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問からはじめる会計学」(光文社新書2005)

・「。」の1強時代はしばらく続きそうだ。

 

 文豪道場で、「。」の効果を話し合わせてみてはいかがでしょう?