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No弐-270 「とめ・はね・はらい」を考える2 

 今日も「とめ・はね・はらい」について考えてみたいと思います。

 早速、「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(文化庁)を読んでみました。

「学習者の発達の段階に応じた教育上の配慮等から、一方の書き方を指導する場合にも本来はどちらも適切な書き方であるということ、はねの有無は、それが漢字の字体に影響しない場合には、正誤の判断基準にならないということをしっかりと踏まえておくことが望ましい」と書かれてあります。

 量が多いので3回に分けて、まとめてみました。

 

①「はねるか、とめるか」

・「木」や「きへん」は、はねて書いても誤りではない。

「のぎへん」や「うしへん」などについても同様である。

・「てへん」(「扌」)は、筆の運びからするとはねる方が自然だし、はねる書き方が慣用として定着しているが、とめて書いても誤りであるとまでは言えない。

「寸」「手」「丁」「月」「力」「可」「独」「列」「水」「性」も同様である。

・「干」という漢字をはねて書くと「于」という別字になる。

・「空」のあなかんむりの5画目は、手書きの楷書では、とめる書き方が一般的だが、明朝体では、はねる形になっているので、はねる形で書いても誤りではない。

「陸」「俊」も同様である。

・「改」の「己」は、はねていてもはねていなくてもどちらで書いても誤りではない。手書きの楷書は、とめる書き方が多いが、明朝体では、はねているのが一般的。

「役」「化」「起」「空」「指」「酒」「切」「比」「陸」なども同様である。

・「保」「木」と「ホ」は、両方の書き方があることが例示されている。

「葉」「果」「楽」「親」「探」「巣」も同様である。

 

②「はらうか,とめるか」

・「木」「林」、「数」「枚」などの最後の画は、右側に空間が十分にある場合には、はらう書き方をすることが多いが、とめて書いても誤りではない。

・「因」という字の「大」の3画目や「困」という字の「木」の4画目をはらっても、とめてもどちらで書いても誤りではない。筆を運ぶ方向が広く空いている場合は、はらって書くのが一般的でも,狭いところではとめて書く習慣がある。

「恩」「医」「季」「返」も同様である。

・「耳」の5画目は右上方向にはらってもとめても、「角」の3画目の縦画をはらってもとめて書いても誤りではない。

「域」「式」「骨」「周」も同様である。

・「園」「遠」「猿」の「袁」の下の棒はとめて書いてもはねて書いても字体としては誤りではなく、正誤の判断を左右しない。最終画もとめても、はらっても誤りではない。狭いところではとめ、余裕のある場合にははねる傾向がある。

「環」「還」も同様である。

・「比」や「化」の右側の横画は,左から右にとめるように書いても,右から左にはらうように書いても現在はどちらの書き方をしても誤りとは言えない。

「風」「仰」「橋」「系」「考」「属」なども同様に考えられる。

 ただし「干」と「千」、「天」と「夭」のようにその違いによって別の字になってしまう場合には注意が必要。 明日に続く