昨日の朝日新聞「フォーラム」は「裏アカ調査 どう考える」でした。「裏アカ」という言葉をご存知でしたか?
就活中の学生が匿名で使うSNSアカウントのことで、それを特定し、その投稿を調べる企業が増えているんだそうです。
・飯田橋にある調査会社は、コロナ下の採用ではオンラインの面接が主流となり、人柄が把握しにくくなった現状を受けて昨年9月、裏アカを特定するサービスを始めた。
・閲覧するのはネット上に公開されたもの。
・履歴書をもとに出身地や出身校、誕生日などが一致する匿名のアカウントを探す。
・実名アカウントの写真、フォローしている友人、投稿内容のくせなども加味して絞り込み、特定していく。
・差別的な投稿や機密情報の漏えいなども見つかるという。
・多くの場合。完全に問題なし「A」から採用を控えた方がいい「D」までの4段階で評価し、企業に報告する。
・別の調査会社は、これまで担った3万人近い調査対象者のうち3割弱で、中傷やデマといった問題のあるネット上の言動を確認した。
・依頼する企業数は年々増え、延べ400社近くになった。
・2020年度は前年比の2.5倍の依頼があった。
・従業員の投稿が炎上を招き、企業に多大な損害を与えるケースが増えた。
・就活を所管する厚生労働省は「本人の適性・能力に関係のない情報が把握されかねず、採用に影響する懸念があるため、望ましくない」との考えを示す。
・フォーラムアンケート(270人回答)では賛成17.4%、反対48.5%、どちらともいえない34.1%。こうした調査を知っていたのは6割。
皆さんはこの「裏アカ」どう思いますか?
2人の大学の先生はこう話しています。
★河合准教授(岩手大・労働法)
・採用時の裏アカ調査は、厚生労働者が望ましくないとする「身元調査」に、やり方次第ではあたる恐れがある。
・1999年職業安定法が改正され、収集してはならない個人情報を列挙している。
・SNS調査をやる場合、調査事項を明示して機微情報には接しない、また偶然に接してもそれを理由に不採用にしない、という線引きが守られるなら、憲法が認める採用の自由と思想の自由の両方がある程度は保障されるはず。
★竹内准教授(兵庫県立大)
・公開が前提のSNSでは、そこで書いたことは誰かに見られる可能性がある、と言う認識が必要。
・「定年まで雇用したら3億円以上かかるので、入社前にしっかり調べるのは当然」(調査を依頼している企業幹部)
・最終選考に残った志願者を対象に調べたら、8割超で問題のある投稿が見つかった年があった。
・この問題の本質は、SNSという試行錯誤中で無秩序になりがちな新しいメディアを、的確に使いこなすリテラシーではないか。
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