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No弐-249 学校現場の実態2

 12月1日です。残り1月の健闘祈ります。今日の朝も台風並みの雨風でした。通勤が大変だったことでしょう。お疲れ様でした。

 一昨日から連載が始まった朝日新聞朝刊「いま先生は 第1部」。今日は2回目「授業が仕事なのに」からです。

 東海地方のある中学校の30代の女性教員の訴えから見えてくる実態です。

◎呼び出し

・午後7時過ぎに職員室の電話が鳴る。「兄弟げんかをしているから止めてほしい」。

 生徒の自宅に急行し、兄弟をなだめて学校に戻り、仕事を再開。

・生徒が万引きをして、店から迎えに来るように言われることもある。

・SNSでトラブルが起きたからと、生徒に聞き取りに行くこともある。

 

◎保護者の要求

・不登校傾向だった中3の生徒の保護者から他の生徒がいない早朝に保護者の仕事の都合で6時半に登校させたいと頼まれた。

 管理職に断れないか相談したが「子どものためにやってくれ」と言われ、早朝出勤が続いた。

 

・生徒を励ますために「勉強を頑張ろう」と声をかけ、思わぬ反発を受けた。

・言葉遣いが生徒の保護者から問題視され、保護者会で質問された。

・それ以来、自分を守るために毎月毎日、生徒にどんな声をかけたのか、ノートの記録している。

 

・先生という仕事に幻滅したのは、教員4年目の時。

◎部活動の指導

・教員全員が部活の顧問をするように求められ、未経験の競技を担当。

 毎日練習を指導し、授業の準備が始められるのは午後9時。

 土日も部活。大会の審判や運営も任されることもある。

・プレッシャーは日に日に大きくなり、体調を崩し、ある朝、起き上がれなくなる。

・思い切って「土日のどちらかは部活を休みにしたい」と生徒らに打診すると、保護者から「生徒には熱意がない」と言われ、気持ちの糸が切れた。もう限界だった。

 

・やりがいを感じられなくなり、「職があって、給料がもらえて生活ができればいい。良い先生にならなくたっていい」

・今の勤務校でも部活の顧問を引き受け、授業準備ができるのは午後9時。

 

・学校全体に若手の教員を指導する余裕がなくなり、新人が辞めたこともある。

・1学年で3人の教員がいなくなり、代わりに管理職が授業をすることもあった。

・「今の教員の働き方では、いい子、まじめな子ほどつぶれる」

・「教員をとりまく環境を少しでも改善してほしい」

 

 いかがでしたか?この先生は、負のスパイラルに入ってしまっているのが心配です。

 まだ手応えのある授業ができていないのでしょう。だから思わぬ生徒の反発を受けてしまうのです。

 いい授業がきっかけになると思います。子どもか保護者か職場の誰か1人でいいから認められたら、流れが変わると思います。きっと前向きになれるような気がします。

 自分を守るための記録から子どもの変容を書き留めておく記録に変わってほしいです。

 これに気がつかなければ、部活の指導を辞めて教材研究の時間が十分に確保できても、いい授業はできないと思います。時間があればいい授業ができるわけではないのですから。

 この子の悩みを受け止め、育てていける職場が必要です。それも教育なんです。