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No弐-243 藤井颯太新竜王の進化2

 今日も藤井さんの凄さと成長に注目してみます。

・藤井新竜王の棋風は攻防のバランスがよく、序盤から終盤まで隙がない。

・特筆すべきはトップレベルの棋士すら圧倒する読みの深さ、正確さだ。

 

★快進撃の背景

・序盤戦術の進化がある。序盤から激しい戦いになりやすい「相懸かり」に磨きをかけた。

・羽生さんの全盛時代の代名詞「羽生マジック」はその存在だけで、未然に相手の闘争本能を刈り取る魔力を持っていたが、「藤井曲線」もその力を宿し始めている。

今年度も40勝7敗(勝率・851)。その強さを表す一つとして注目されているのがAIに

よる形勢判断を数値化した「藤井曲線」。

1局の将棋における「右肩上がり」のグラフ形状を指す。序盤から優位に振れ、逆転許さず相手を投了へと導く。

 

・AIの出現前後で歴史を分けるなら、出現前のトップ棋士は教わる機会がなかった。研究用パソコンを自作できる若さもあり、強くなれる環境下にある。

・デビューした頃は序盤の知識不足から、相手に先行されて敗れることもあったが、今は将棋AIを活用するなどして駒配置の知識を蓄え、弱点を克服している。

・デビュー当時から長考派で、相手より先に持ち時間を使い切り、秒読みに追われる中、指し手を間違える弱みがあったが、弱点を克服している。今年になって公式戦の際にデジタル時計を持参し、脇に置くようになり、時間をこまめに確認し、極端な長考が減った。

・藤井新竜王は辛抱強い指し手で、相手のミスを誘う「人間的な」技術も持ち合わせている。「素人みたいな手」は忍耐の一手で指しにくいが、最善手だと判断すれば迷うことなく指す。

・棋士が参考にするAIの形勢判断については「うのみにしません」と、自分の頭で局面を徹底的に考え抜く。

・棋士らが出場する詰将棋解答選手権で5連覇している。

 

★藤井四冠のエピソード

・デジタル一辺倒ではなく、アナログの良さも取り入れている。

 小学校から新聞を読んでいる。将棋の観戦記はもちろん、海外のニュースに関心がある。

・新聞以外には、歴史小説も好きと言う一方で、SNSは「全くやりません」。

・対局中の前傾姿勢になったら「全集中」で熟考に入る合図だと、ファンには知られている。

「対局中、相手のしぐさを見たり、表情を気にしたりすることはありません」。

 

・小学生の頃、難解な詰将棋の問題を考えながら歩いていたら何度かドブに落ちた。

・趣味で始めたというチェス。コンピューターソフトと対戦しているが、形勢が悪くなった際や自分のミスに気づくと、すぐに「待った」をしてやり直している。

「将棋以外は楽な方に流されがちです」

現在チェスの腕前は「さっぱり強くなりません。誰と対戦しても負けると思います。将棋以外のボードゲームは取り組んでも弱いままでしょう」

・運動不足解消のため、今年春に始めた散歩も「行った先から帰るのが面倒なので、すぐにやめました」

 

・竜王戦第2局のおやつで注文した「くま最中」が「かわいい」とSNSで評判になり、製造元の京都の和菓子店でその日のうちに売り切れた。

・自分で対局するより公式戦の観戦を趣味とする「観る将」と呼ばれるファンが増え、大盤解説会場には女性の姿も目立つ。「おやつ」や「勝負めし」と言った話題で盛り上がる。

 

・将棋中継は、アクセス数は毎年右肩上がりに増えている。

・2年ほど前にABEMAの将棋中継でAIによる勝率表示が始まり、対局の形勢が可視化されたのも大きい。

 

★中原誠十六世名人の話 

・「盤上で人間の無限の可能性を示してくれる藤井さんの将棋を見られる時代に生きていることは、とても幸せなことです」

 

★藤井さんの言葉

・将棋とは「どれだけ考えても分からないもの。新しい発見を与えてくれる」

・「将棋は必ず未知の局面を迎えるので、一局ごとに新しい発見があります。判断が難しい局面を考えることが面白い」

・「最善手を追及したい」

 「授業のまくら」にいかがでしょう。