今日は、11月1日。2年前No493(2019年11月1日)で、11月1日に触れていました。
「紫式部日記」の中で、寛弘5年11月1日の項目に、歴史上初めてあの「源氏物語」に関する記述があり、「古典の日」に制定された。
キティちゃんの誕生日で、1974(昭和49)年11月1日。
「紅茶の日」ロシアに漂流した大黒屋光太夫が、当時のエカチェリーナ女帝のお茶会に招かれて、日本人として初めて紅茶を飲んだことの文献が残っている。
他にもワン(1)ワン(1)ワン(1)の語呂合わせで犬の日。ラジオ体操が放送開始された日などが印象に残りました。
朝日新聞終末別冊版「be」に連載している飯間浩明さんの「私のB級言葉図鑑」からです。今回は10月2日から10月23日の4回分です。
①「入坑者」 首都の中心部で出会うとは(10月2日)
東京駅に近い歩道の地下工事現場に「入坑者一覧表」が掲げられてあったそうです。飯間さんはふと不思議な感覚に襲われたそうです。確かに「炭鉱」のイメージですよね。
・「入坑」は、<作業をするために坑道にはいること>。「坑道」は<鉱山などの、地下にほった通路>。やっぱり鉱山を念頭に置いています。
・大都会でも入坑できることを、辞書の作り手たちは気づいているのかな?
・「坑」には「あな」の意味があり、地下工事では確かに穴を開けているので、ここの使い方は間違いではありません。単に辞書に反映されていないだけです。
②「リラグゼ―ション」 日本語の長音符はユニーク(10月9日)
マッサージの店の看板が縦書きなのに横棒の「―」が使われていたそうです。
・海外式のマッサージの店などでよく見かける表記です。
・縦書きと横書きで長音符の形が変わるのは、日本語で育った人にとってはごく当然のことです。でも、日本語になじみのない人には意外なルールではないでしょうか。
・日本語のように縦でも横でも書ける言語は、世界的には多くありません。
・それぞれの場合で形が変わる文字(または符号)は少ないはずです。
・日本語の長音符と言うのはユニークな存在です。
・日本語で横書きが広まった明治初期、長音符の書き方は確立していませんでした。
・当時の本では、カタカナの横書きで、長音符だけ縦に書いてあったりします。(逆パターン)
③「ずい道」 濁って読むのは何のため?(10月16日)
歩道を歩いていると<ずい道内 消防用 送水口>という表示が目に入ったそうです。
・「ずい道」は漢字で「隧道」。ここでは地下鉄の通る穴を指します。
・「隧」は穴道の意味で、明治時代にトンネルの訳語として「隧道」ということばが作られました。
・大江健三郎さんの小説に<上を電車が通っている隧道(すいどう)を通り抜け>とあります。
・井上靖の「しろばんば」では天城峠のトンネルを「ずいどう」と呼ぶ描写があります。大人も<ずいどうは裸では通れんぞ>などと言っています。
・結論を言えば、「隧」道には両方の音読みがあり、どちらも正解。
・土木関係では「ずいどう」と濁って読むらしい。「水道」と区別する必要があるから。
④「●(●は「衆」の下が「豕」)」俗字だけど伝統的な漢字(10月23日)
政治家が書いた「衆議院」の「衆」の字が間違っているとネットで揶揄されているのを見たそうです。
・問題の字は「●(●は「衆」の下が「豕」)」です。下が「家」のように「豕(いのこ)」になっています。
・街を歩くとのれんや看板に書いてあります。街の中では昔から使われている伝統的な漢字です。
・漢和辞典の中にも俗字として収録するものがあります。
・俗字は正式な字(正字)ではなく、教科書でも習いませんが、民間では長く使われてきた字なのです
・戦後、学校で習うようになった新字体の中にも、元は俗字だったものが多いのです。
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