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No弐-208 大学のコロナ休退学の現状

 19日(火)朝日新聞朝刊「教育」欄の「コロナ休退学 つかみきれない実態」「退学数 回答した大学3割止まり」と言う見出しが目に留まりました。

 「コロナ禍の影響で昨年度に退学・休学した学生の数を多くの大学が把握できていない」「コロナを理由とする退学者数は3割弱、休学者数は4割弱にとどまった」という記事でした。

 

 No弐-61「大学のオンライン授業」(5月27日)では、読売新聞の記事から文科省の調査(今年3~4月)では、大学・短大の中退者57913人(前年度比16216人減)で、学生数に占める割合1.95%。経済的困窮(16.7%)が最多でした。

 休学者67034人(前年度比5253人減)で、経済的困窮(15.8%)最多で、大学・短大の中退・休学者は2.1万人減ったということで、コロナの影響を受けた退学者はさほど多くないと言う認識が広まりました。

 

 朝日新聞・河合塾共同調査「ひらく日本の大学」(今年6~8月)は、国公私立大学655校回答(85%)。

・コロナを理由とする退学者数29.0%、休学者数37.0%。

・同調査では、大半の項目で同様の傾向が出ており、多くの大学がコロナを理由とする退学・休学者の実態を把握しきれていない可能性が高い。

・規模別では、入学定員が300人未満の小規模大は、退学者22.0%、休学者27.0%で低い。

 入学定員が3000人以上の大規模大は、退学者34.1%、休学者47.9%で比較的高い。

 

・退学理由の選択肢9項目でコロナ影響が強めに出たもの

 「経済的困窮」で退学した人の7.6%、「学生生活不適応」6.5%がコロナを理由。

 

★学部系統別の退学率

①歯(3.49%)②芸術・スポーツ(2.37%)③工(2.11%)④経済・経営・商(2.10%)⑤理(2.04%)⑥総合・環境・人間・情報(1.97%)⑦保健(1.86%)⑧文・人文(1.81%)⑨法・政治(1.69%)⑩社会・国際(1.69%)⑪薬(1.50%)⑫生活科学(1.33%)⑬農(1.25%)⑭教育(国公立)(0.78%)⑮医(0.55%)

・歯学系の退学理由は「学力不振」が37.4%と最多で、歯科医師国家試験を前に断念する学生が多いと見られる。

・芸術系は「学生生活不適応」と「経済的困窮」、工学系は「転学」、経済系は「経済的困窮」を理由に挙げる学部が多く、どれも20%を超えた。

 

・長引くコロナ禍による影響で、今後も退学や休学に追い込まれる学生が増えるのではないか。各大学から心配な声が届いた。

★退学・休学防止に向けた大学の取り組み

①学生の相談窓口・メンタルヘルス面のケア体制の充実(84%)②対面授業をできる限り増やす(70%)③学生への経済的な支援(68%)④学生アンケートの結果を授業や大学運営に反映(60%)⑤学生と教職員の対面の機会を増やす(43%)⑥授業以外で学生同士の対面機会を増やす(24%)

 

 少人数による担任制の導入、カウンセラーの常駐、退学から休学への提案(在籍管理料3万円)、全学学生面談、学生相談窓口増加、課外活動の解禁、特別奨学金、学内フードバンク、食糧支援、物品支援など各大学で工夫しているようです。

 

 教え子が大学に進学している子が多いので、充実した学園生活がおくれているか、気がかりです。