一昨日の朝日新聞のフォーラムは、「学校行事の中止 影響は」でした。
★朝日新聞のデジタルアンケート(2021年9月27日~10月11日、211回答)
◎コロナ下で学校行事に影響がでましたか?
中止(80%)、縮小(13%)、延期(7%)
◎コロナ下で中止になった学校行事などは何ですか?
授業参観(66%)、宿泊行事(62%)、部活動(52%)、遠足(49%)、運動会・体育祭(42%)、文化祭(40%)、水泳(40%)、社会科見学(39%)、合唱コンクール(37%)、調理実習(37%)、入学式・卒業式(21%)、スキー教室(12%)
◎学校行事などの中止や縮小などで子どもたちはストレスを感じていると思いますか?
思う(61%)どちらかといえば思う(25%)計86%
No弐-171「2021全国学力テスト結果1」(2021年9月14日)でも取り上げましたが、「学校に行くのは楽しいと思うか」という問いに「当てはまる」と答えた6年生は48.0%で6ポイント低くなり、13年以降で初めて5割を切りました。
文科省は、友達と触れ合って遊ぶ機会が制限され、運動会など身近な目標が減ったことが一因とみていました。
「将来の夢や目標を持っている」に当てはまると答えた6年生は60.2%で5.7%ポイント減でした。
3人のコメントが載っていましたが、印象に残った言葉を抜粋しました。
★親野智可等さん(教育評論家)
・修学旅行や文化祭、体育祭は中止や延期になり、給食の時間はおしゃべりをせずに前を向いて食べる。友達との関わりも少なくなり、口に出さなくても、子どもたちはストレスを抱えていると思います。
・子どもたちが学校で体験から学ぶ機会は減りました。
・人間関係の勉強をしたり、自己実現したりすることも少なくなりました。
・学校行事の見直しが迫られたことは、一概に悪いともいえません。
・卒業式。時間をかけた練習や大勢の来賓のあいさつは本当に必要だったでしょうか。子どものためだったでしょうか。
・「子どもたちに本当に必要なものは何か」を問い直す気づきにつながったはずです。
・子どもたちも、当たり前と思っていたことの大切さを学び、限られた条件下で工夫する子著の必要性も学んだかもしれません。その経験が今後生きてくることあるでしょう。
・コロナ禍でもたらされたマイナス面を自覚し、補う方法を考えつつ、同時にプラス面も見て、今後に活用していければと思います。
★柳優香さん(弁護士)
・大人は「旅行は来年行こう」と考えられても、小6や中3の修学旅行は、来年に置きかけられません。運動会なども同じです。
・目的は何で、何をやり、何はやらないのか。形を変えて行うならどのようにするのか。
・話を聞く学び、意見を言う学び、折り合って物事を決めていくプロセスの学びになります。
★浜野隆教授(お茶の水女子大)
・長期化するコロナの影響で、学校行事の中止、延期が繰り返され、子どもたちの心の中で「あきらめ感」や「無力感」を醸成してしまっている可能性があります。
・学校の様々な活動には、協調性や人間関係の調整力など「人と関わる力」、自己肯定感や自立心など「自分に関する力」、つまり非認知能力を高める仕掛けがあります。
・教科学習ばかりでは、どうしても受け身の学びが増えます。
・主体性を発揮する場が少なる中で、目標を失ったり、やる気を損なわれたりすることは十分に考えられます。
・もう一つの懸念は体験の格差です。もともと経済的な理由によって、「習い事の格差」は存在していましたが、今回「体験の格差」として鮮明化する可能性があります。
・非認知能力は社会経済状況との相関関係があまり強くありません。家庭での基本的生活習慣や親からの働きかけなどでも非認知能力は高められる。そこは強調したいです。
・感染対策をしながら、これからはできる限り学校での特別活動を実施する方向で考えてほしいと思います。
・学校が抱え込まずに地域や民間団体と連携して子どもたちの体験による学びを支える形を作っていくことも重要だと思います。
・アンケートでは「人の役に立つ人間になりたい」という回答が増えました。社会全体が困難を抱える中で、子どもたちも敏感に何かを感じ取った結果なのかもしれません。こういう気持ちを受け止め、注目していきたいと思います。
マイナスを嘆くより、今こそプラスに変えていく努力はして行きたいですね。
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