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No弐-191 漢字を考える1  

 少し古くなりましたが、8月22日(日)朝日新聞「フォーラム」に「漢字、どう思う?」という記事があったのを思い出しました。

 こんなクイズが載っていました。

 

「フォーラム面 第1回 漢字試験」

問1 次の漢字の読み仮名を書いてください。

・海豚 ・山葵 ・渾名 ・面皰 ・堆い ・歪な

 

問2 漢字で書いてください。

・こうとうむけい ・じらす

 

問3 2010年の常用漢字の改定で、追加されたものはどれですか。

①伊 ②嘘 ③謳 ④誰

 

問4 2010年の常用漢字の改定で、削除されたものはどれですか。

①錘 ②朋 ③斡 ④狼

 

★笹原宏之教授(早稲田大)「進む『表イメージ文字』化」

・漢字を書く機会が激減したと言われる現在、若い世代の「漢字観」がどうなっているか、具体例を通して新たな発見がありました。

・コロナ禍の「禍」を「渦」と書く学生たちがいます。

 画面上の「禍」の文字の形を見て、何となくつくりの目立つ部分だけが記憶に残る。「パターン認識」による覚え方です。

 意味を考えず、一点一画を手の筋肉を動かして覚えていないから「渦」となじみ深い方で書いてしまう。せっかくの知識を応用できない。

 

・「核」や「漫画」は書けるのに「咳」や「蔓延」は書けないのも同様です。

・完成品の活字にしか接しておらず、自分が普段手書きしないから、略字は読めず、略す必要性に思いが至らない。

 略字を蔑視して「使いたくない」という傾向さえ強まっています。

 

・「どっちが古く感じる?」と「北條」と「北条」を見せると、旧字体の「條」ではなく「条を」を選ぶ学生が多い。

 日本史教科書では「北条」氏だからです。活字の教科書で覚えた歴史にイメージに縛られているように思います。

 

・以前学生たちから「先生の授業は考え深いです」と感想をもらいました。

 辞書に載る思慮深いの意ではなく、「感慨深い」と混戦しているようです。

 「感慨」は感情で、「考え」は思考ですから、対極です。

 

・SNS上で思考を飛ばして直感的に発信することの悪影響が指摘されています。

・総じて、漢字の「表意文字」「表音文字」ならぬ「表イメージ文字」化が進んでいると思います。

 意味からも音からも離れ、論理とは対極にある漢字のイメージを重視する、という風潮です。

 典型的なのは子供の名付けでしたが、それにとどまりません。

 言語は共通の社会的習慣なのに、自分のイメージによって漢字を絵文字のように「通じるでしょ?」と使う。

 コミュニケーションに支障が出てくるのでは、と心配しています。

 

 手書きをしない影響ってあるんですね。読めない名前も確かに増えていますよね。「表イメージ文字」が印象に残りました。 明日に続く

 

 問1 ・海豚(いるか)・山葵(わさび)・渾名(あだな)

・面皰(にきび)・堆い(うずたか)・歪な(いびつ) 

 問2・荒唐無稽・焦らす 問3④ 問4①