朝日新聞の「オピニオン&フォーラム」欄に「どう思いますか」という読者の声を聞くコーナーがあります。
「『がんばれ』という言葉は相手への応援になるのか、負担になるのか…。」という問いかけが心に響きました。
7月27日の高校生の問いかけに、120通を超える投稿が届いたそうです。9月15日と29日の2回にわたって10人の方のお考えが掲載されたので今日と明日で紹介したいと思います。
◎「もっと頑張らないとダメですか」女子高校生(愛知県16)
「がんばれ」。この言葉は一般的に人を応援することを意味します。しかし時に、人に負担をかける言葉へと変わってしまいます。
スポーツの試合や受験で「がんばれ」と言われ、うれしく思う人も多いでしょう。しかしたくさん努力して疲弊しきっている時や傷ついている時の「がんばれ」はとてもつらく感じます。そもそも「がんばれ」には「自分には無関係なこと」という前提があると私は思います。突き放された感じがするのです。
私たちはいつまでがんばらなければいけないのでしょう。つらそうな人に、優しい言葉で接することのできる社会になればいいなと思います。
9月15日に投稿された5人のお考えを抜粋しました。
①女性(山口県62)「傷ついた人への励ましにならぬ」
・「がんばれ」を口にするのはたやすい。けれども、傷ついている自分に、その言葉は意味をなさなかった。何をがんばればいいのかわからない時、かえって心をえぐられた。
・苦しむ人の心に寄り添い、傷を癒すためには、その人を苦しめている状況や環境、原因を少しでも軽くしようと考え、具体的に助けていくことだと思う。
②女性(東京都88)「前進・向上につながる『日常語』」
・私には本当に困っている時の「がんばりなさい」は一番うれしく励みになる大切な言葉です。
・よちよち歩きの乳児や幼児との会話は「よくがんばった」から始まるでしょう?生まれてからずっと使い続ける日常語ではないでしょうか。
③女性(愛知県43)「難しい…今もずっと悩んでいる」
・私も娘に「がんばれ」と言っていますが、私自身もその言葉が好きではありません。
・ですが、人生経験の浅い娘には、もう一息がんばれるような気がして、そう伝えています。あと一歩踏み出して、もっと可能性を広げて、まだ知らない未来を見つけて欲しいから。
④女性(神奈川県67)「心をほぐすような言葉かけて」
・30代後半、暴力と不貞を働く夫から逃れるため6歳の子どもを連れて家を出た。その時、友人からかけられた「がんばれ」の言葉はすんなりと私に心に届いた。
・50代後半で乳癌を宣告され、術後に「がんばって」と言われた時は素直に喜べなかった。
・「がんばれ」という言葉は、相手の状況を見極めてかけたほうがいい。よくわからない時は、「話をいつでも聞くから、声をかけて」「困っていたら声かけて」など心をほぐすような言葉がいい気がする。
⑤女性(宮城県58)「涙があふれた『がんばったね』」
・10年前、東日本大震災発生時、被災地では耳にするもの、目にするものの多くに「がんばれ」という言葉があふれた。
・私は震災以前までは「『がんばれ』以外にないでしょ?」と思っていた。その後、震災にあふれたこの言葉。「もうこれ以上がんばれないよ、私」と言うのが本音だった。
・ある時、私の事情を知っていた友人に「よくがんばったね、大変だったね」と声を掛けられ、知らぬ間に涙があふれた。「がんばれ」ではなく「がんばったね」の言葉が心にしみた。
私は④の方が言うように相手の状況を見極めること、⑤の方のように「がんばったね」の言葉が心にしみることに共感しました。明日につづく
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