· 

No弐-179  中国の教育新政策

 先日、テレビで中国で小中学生向けの学習塾の閉鎖が相次いでいるニュースを見ました。今日は、9月18日の読売新聞朝刊に、中国の家庭の教育負担軽減を目指した習政権の新政策のことが載っていたので紹介します。

 保護者や教育関係者の間で混乱や戸惑いが広がっているそうです。

 

・学歴重視の中国では多くの家庭が子どもの教育費に悩む。中学卒業までに平均51万元(約870万円)が必要とされた。(2019上海)低所得層ほど負担が重い傾向がある。

・中国では家庭間の経済格差が教育格差を生み出している。現状では、有名大学の過酷な受験競争に勝ち抜くには、幼少期から高額な学習塾や習い事に通うことが必須となっている。

・一方では、親の出稼ぎで農村から都市部に移り住んだ子どもたちの進学率は3割余り。全国平均の6割弱を大きく下回っている。

 

・習政権は、家庭の教育関連の負担を減らすことを目的とした措置を増やしている。学習塾の規制はその一部だ。

・将来的には、出生数の回復につなげることを目指し、教育格差を解消する効果も見込んでいる。

 

★中国政府が打ち出した主な家庭の教育負担軽減策

・小学1・2年は筆記式の宿題なし(全国共通)

・親の帰宅まで学校の課外活動を実施(全国共通)

・小中学生向けの学習塾新設を認めず、既存の塾は非営利組織化(全国共通)

・地方ごとに塾の受講料の上限を決定(全国共通)

・小学校の授業開始は午前8時20分以降を厳守(北京、重慶など)

・塾での勉強は午後8時半まで(上海、西安など)

・週に1度「ノー宿題デ―」(広州、長沙など)

親が子どもの宿題につきっきりになる状況をなくし、若い夫婦が出産をためらう要因を取り除くねらいがある。

 

・上海の大手学習塾では、施錠された入り口に営業停止の貼り紙が掲げられていた。

 そばの机には授業料返還を求める人向けの記入表が置かれ、約200人に名前があった。  

・資金繰りに行き詰まったり、業界の先行きを悲観したりして閉鎖する塾が続出している。

・香港メディアは、規制に伴う失業者が1000万人に及ぶ可能性があると伝える。

・地方都市で教育業界への就職を希望する人のうち6割が塾関連の失業者だった。

 

・保護者の受け止めは分かれていて、こんな抜け道を探す保護者がいる。

・SNS上で1時間800~1000元(約13000円~17000円)で家庭教師を募集したりする保護者。

・政府の規制が教材にも及ぶ可能性を懸念し、学習教材を手あたり次第、買い集め始めた保護者。

 

 根本の学歴社会が変わらない限り、うまくいかないのではないでしょうか?

 教育格差をなくせば、抜け道を探す人が必ず出て来るでしょう。