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No弐-173 休校が学力に及ぼす影響  

今年度の全国学力テストの結果と考察はいかがでしたか?

 9月7日(火)の読売新聞朝刊に「新型コロナウイルスによる休校が学力に及ぼす影響は、国の学力調査では影響がなかったとされるが、自治体や民間の調査からは、小4と小5の算数の学力が低下した可能性や勉強時間の減少といった傾向が浮かび上がる」と言う記事が目に留まったので紹介します。

 

★自治体の調査

・埼玉県教育委員会では毎年、さいたま市を除く県内の小4~中3を対象に学力調査を実施。昨年度は約23万人が参加。

・県教委の依頼を受け、中室牧子教授(慶応大・教育経済学)が昨年度と前年度の結果とを比較分析したところ、小4、小5の算数の学力が低下した可能性があることが分かった。

・学年ごとに算数の学力を21段階に分けているが、前年度よりも2~3段階程度低かった。

・「小4、小5は自立した学習が難しく、休校の影響を受けやすい」(中室教授)

・天候や教職員のストライキなどで数カ月休校となった海外のケースでも、特に理数系科目で低学年の子供の学力への影響が見られた。

・「理数系の勉強は、積み上げが重要になるためではないか」(中室教授)

 

 少なからず休校の影響はあると思います。

 また、本当に4、5年生の算数の学力に影響が出ているのでしょうか?

 6年生は?国語は?と言う疑問が浮かび上がってきますが、現場の実態はいかがでしょう?

 

★民間の調査

・一斉休校中の勉強時間がその前後に比べて大きく減少していた(三菱UFJリサーチ&コンサルティングと日本財団が今年3月、小中高校生の子どもがいる世帯の親4000人を対象に行った調査)

 

・休校が1か月以内だった世帯

 休校前の勉強時間(7.7時間)→休校中の勉強時間(7.3時間)減少。

休校が2か月以上だった世帯

 休校前の勉強時間(7.5時間)→休校中の勉強時間(5.2時間)2時間以上減少。

・世帯別では「一人親世帯」の減少幅が1.6時間で最も多い。

・「休校期間が長ければ長いほど、勉強のペースがつかみづらくなる。」

・「休校明けに成績が落ちる子供は普段からも課題を抱えるケースが多く、社会全体で個別にきめ細かい支援をしていく必要がある」

 

 休校が長引けば、自主的に勉強する時間が少なくなるのは当然です。家庭学習の習慣化はやはり授業の魅力にあると信じます。

 

★自宅にある本の冊数と学力の関係(朝日)

・本の数は国際学力調査で文化階層を示す質問として注目されてきた。

・全国学力調査では本棚の本の絵を示して質問をした。

 10冊以下 小学生(11.0%)、中学生(14.4%)

 25冊以上 小学生(29.8%)、中学生(34.0%)

・学力との関係では、小学校国語の場合、明らかな相対関係が確認された。

0~10冊の正答率53.8%、501冊以上の正答率71.2%

 

 読書貯金カードや少しでも本の魅力を伝えていく必要がありますね。

 伝え合う活動ならもっと工夫できそうですね。