今日もパラリンピアンを紹介します。子どもたちに伝えるいい教材になると思うからです。
ラケットを口にくわえてプレーした卓球男子のエジプトのイブラヒム・ハマト選手のことがまだ目に焼き付いています。「不可能なことは何もない」
アーチェリーのマット・スタッツマン選手(38)は、生まれつき両腕がなく、足で弓を持ち、あごを使って射るのでした。
9月1日(水)の朝日新聞「Why I’m here だから私はここにいる」からです。
★マット・スタッツマン選手(米国)のエピソード
・失敗を恐れず何にでも挑戦するように育ててくれた「両親」がいたから、今の自分がある。
・生後間もなく生みの親に児童養護施設に預けられ、キリスト教系の学校を運営するレオンさんとジーンさんに引き取られた。教育方針は「何でも一人でやってみる」こと。
・幼い頃から「あなたならできる」と言われ、失敗しても何度も繰り返した。
・ある日、兄が庭のりんごの木に登るのを見て、自分もやりたくなった。低い枝から伝って上まで登ったが、下り方がわからず、45分間も木の上にいた。それでも何とか自力で下りた。2人は手を貸す準備はしていたが、じっとこらえ、見守った。
・一つできるようになると自信がつき、また新しいことに挑戦したくなった。その連続で、食事や歯磨きはもちろん、車の運転まで足でこなす。
・障害を理由に差別を受けて苦しんだ時期もあった。
・15歳の時、地元の自動車教習所への入所を断られた。免許を取るまで2年かかった。
・仕事を見つけるのにも苦労した。「見た目のせいで、誰も雇ってくれなかった」。
・2010年、男性が鹿に矢を放つテレビCMを見て、アーチェリーを始め、家族で狩りに出かけた。
・右足の親指と人さし指で弓を持ち、左足を地面につけて構えを維持して矢を放つ。
・友人に勧められて、試合に出るようになった。初出場の12年ロンドン大会では銀メダルを獲得。
・最も遠い的(約283メートル)を射抜くギネス世界記録も持つ。
・東大が脳の働きを調べたところ、本来は手を動かすと反応する脳の一部分が、足を動かすことで反応を示した。
・3人の息子の父親となり、教える立場になった。「あなたならできる」。かつて何度もかけられた言葉で、子どもたちの背中を押す。彼らの挑戦する姿は自分の原動力にもなっている。
・31日にあった3回戦。世界ランク1位の選手に敗れ、3度目の挑戦は幕を閉じた。
・「パラリンピックの価値は、メダルだけじゃない。僕の姿をみて、なにかに挑戦しようと思ってもらえたら成功だ」。
「できないこと? まだ見つけられていないな」 すごすぎ!
もう一人8月31日(火)の朝日新聞の「サメは心まで奪えない」の見出しが目に留まりました。
★ローラン・シャルダール(26)選手のエピソード
・インド洋に浮かぶフランス領レユニオン島の出身。
・2016年の8月、島の北西部に広がるビーチで、仲間とボディーボードに乗っていた。突然、水中から全長2mはあろうかという巨大なサメが近づいてきて、海底に引きずり込まれ、右腕と右足を食いちぎられた。命をかけた格闘だった。
・数日間、生死をさまよったが。右の手足を失っても海やスポーツから離れる生活は想像できなかった。
・事故から1か月後、再び波に乗りたくて、ボディーボード用の義手を作ってみた。大学で学んだ工学の知識が生きた。「今ではいろんなスポーツで使う義手が義足を自分で作っているんだ」
・18年に競技デビュー。翌年の世界選手権の50mバタフライで銀メダル。
・今大会では、男子50メートルバタフライ(運動機能障害S6)決勝に出場し、4位。
・「スポーツをやりたい、と言う意思が自分を取り戻す力になった。今も海が好きでたまらない」
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