オリンピック開催期間中、朝日新聞に「Why I Stand だから私はここにいる」というコーナーが全16回連載されていました。私は、日本の選手ばかりを応援していたので、他国の選手にはあまり関心がなかったのですが、ここで紹介された選手の話は興味深く、もっと注目して見ておけばよかったと後悔しました。
ここに登場する選手のエピソードは、道徳や授業のマクラにも使えると思ったので紹介しようと思います。
①ナイフ&フォーク 「宝石と呼ばれても靴の裏は変わらない」
この見出しでどんな話か想像させても面白いかもしれません。
7人制ラグビーのフィジー代表のジェリー・ツワイ(32)選手の話です。(7月28日)
この選手の話は、テレビでも紹介されていたのを見ました。スラム街で育ったラガーマンです。
家は掘っ立て小屋で電気も通ってなく、ある日、両親はなけなしのお金をかき集めて靴を買ってくれたそうです。
「どこにこんなお金があったの」と尋ねるとお母さんは、「これはあなたの生活必需品。ナイフとフォークよ」と答えました。
そして、彼はこの時、靴の裏に「ナイフ」「フォーク」と書きました。
ラグビー選手になりたくて、15歳で学校をやめ、足腰を鍛え、スピードとサイドステップを磨きました。
18歳で地元のラグビークラブに入ると、すぐに頭角を現します。試合で勝った賞金は、きょうだいの学費に充てました。
2016年リオ五輪では主力として活躍し、フィジーに初の金メダルをもたらしました。
今回もフィジーは金メダル。スパイクの土踏まずあたりにはあの「knife&fork」の文字があり、「これが自分の出発点。初心を忘れたくないんだ」と語ったというお話でした。
似たような話がもう一つあります。
②「卵売りクッキー焼いて遠征費 挑む姿見せた」
テコンドー男子アイルランド代表のジャック・ウーリー(22)選手です。(7月25日)
アイルランド初の男子58キロ級に出場し、大会初戦で逆転負けを喫したそうです。
実家は裕福ではないので、遠征費を稼ぐために、自宅で鶏10羽を飼い、産んだ卵を近所やテコンドー教室へ持って行き、保護者に買ってもらいました。
「経費はほとんどエサ代だけ。いい考えだと思った」
さらにインターネットを参考に自分でクッキーを焼き、テコンドーの試合会場で販売したこともありました。売り上げが1千ユーロ(約13万円)にもなったそうです。
自分だけでなく、コーチの旅費もまかなったというお話でした。
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