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No弐-97  国語入試(大学入試)

 今日も6月30日(水)朝日新聞朝刊「教育」欄の「国語入試のいま」からです。今日は大学入試の国語の傾向を見てみましょう。

 

・大学入試センター試験に代わり、今年初めて実施された共通テスト。

 その国語の問題で、教育関係者の注目を集めたのが、知る人ぞ知る作家、加納作次郎の小説「羽織と時計」(1918)。

 その理由は、小説の本文とあわせて、当時の新聞に載った批評も資料として主題されたこと。

 受験生は両方のテキストを行き来しながら、登場人物の心理や、批評の文章を読み解くことが求められた。

・センター試験が「知識偏重」との指摘を受け、共通テストでは「思考力・判断力」を測ろうとしていることが背景にある。

 

★大学入試でよく出題される筆者(東進ハイスクール調査)

①鷲田清一(哲学者)②山崎正和(劇作家・評論家)③加藤周一(評論家)④内田樹(仏文学者)⑤外山滋比古(英文学者)⑥茂木健一郎(脳科学者)⑦養老孟司(解剖学者)⑧夏目漱石(小説家)河合隼雄(心理学者)⑨中村雄二郎(哲学者)

「抽象概念を論理的に語りながら、文学的な魅力もある書き手が好まれるようです」(東進講師・永井さん)

 

・小説家は8位の夏目漱石を筆頭に、15位に三島由紀夫、19位に芥川龍之介を続く。

・現役の専業作家は上位30人までには見られない。

・ここ2年のランキングを見ると、漱石と三島は、外山滋比古、中屋敷均(分子生物学者)と共に1位タイとなっている。

 

・文豪の人気が根強いのは、「主題がしっかりしているので問題を作りやすい。論理的思考を重視する最近の傾向とも相性がいいかも」(東進講師・永井さん)

・現代小説の出題が多くないのは「内面描写をあまりせず、読み手に解釈を委ねる書き方が多い。いくつもの解釈が可能だと、設問として成立しにくい」(河合塾講師・梅沢さん)

 

「他人への想像力を持つことが難しい時代に、小説の読み手は、登場人物という全く違う立場を経験できる。

 登場人物の心理を問われる時、他者の立場を想像できているか、自分の解釈を押し付けない自己相対化ができているかが問われているのだと思います」(河合塾講師・梅沢さん)

 

 相手の立場を考えて行動できる子を育てていくには、読書は有効な手段の一つだと再認識しました。「自己相対化」という言葉も印象に残りました。