朝日新聞終末別冊版「be」に連載している飯間浩明さんの「私のB級言葉図鑑」からです。今回は6月の4回分です。
①6月5日「豆富」意外に気づかれない当て字
料理屋の看板に<豆富 家庭料理>と書いてあったそうです。
・「『豆腐』の当て字でしょう」とすぐわかるのは漢字に詳しい人です。
・「豆富」の表記は、既に1960年代に目撃情報があります。島根県豆富商工組合が申し合わせて、この字を使い始めたと言います。
・「富」と書くのは、もちろん「くさる」という意味の「腐」を避けているのです。いい意味の漢字を選んでできた当て字です。
・ちなみに何種類かの国語辞典には、この表記も載っています。
②6月12日「GoTo Meat!!」お店の苦悩も感じられて
しゃぶしゃぶ屋さんのウィンドウに<GoTo Meat!!>と書いてあったそうです。
・「肉を食べに行こう」という意味らしいけど、わざと変な英語にしています。
・もちろん、例の「GoToイート」のもじりです。
・「GoToイート」「GoToトラベル」も英語として違和感があるという意見があります。
「旅行に行く」は「go on a trip」が自然だと朝日新聞デジタルで専門家が述べていました。「食事に行く」は「eat out」かな。
・どんな外国語も、いったん日本語に入れば日本語です。必ずしも元の言語にこだわらなくていい。
③6月19日「ナポ」古いなじみは略される
イタリアンのお店の壁に<つけナポ TAKEOUT 始メマシタ>と書いてあったそうです。
・「つけナポ」とは、つけナポリタンのこと。つけ麺のように、麺をナポリタンふうのスープにつけて食べます。静岡県富士市が発祥です。
・ウェブサイトを見ると、「王道ナポ」「定番ナポ」など、「ナポ」の例はたくさん出てきます。
・「ナポ」は、さらに動詞化して「ナポる」とも言います。「ナポってる」はナポリタンを食べている。
④「スケートボード」言い方に世代差あるかも
隅田川沿いの散策路に<スケートボード(スケボー)禁止>という注意書きがあったそうです。省略しない形と省略形が並んでいることが念入りだと目に留まったようです。
・昔の辞書を見ると、「スケートボード」は1970年代、「スケボー」は80年代初めに出てきます。
・「スケボー」のネットの検索数は「スケートボード」よりずっと多くなっています。
・さらに短い「スケボ」の形もあります。
・世代によって言い方が違うとすれば、注意書きで両方書いておく意味はありそうです。
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