今日は、5月26日(水)朝日新聞朝刊「多事奏論」の岡崎明子さん(同社科学医療部次長)の「ICT教育の根拠」についてのご意見が面白かったので紹介します。見出しは「『一見、よさそう』の危うさ」です。
・アップルのスティーブ・ジョブズは家で子どもがiPadを使うのを制限し、読書や会話の時間を大切にしたという。
だから私も、娘が幼い頃からなるべくスマホやiPadを遠ざけてきた。それなのに。
・国は(GIGAスクール)構想は学びを個別最適化し、創造性を育むという。でも本当にエビデンス(科学的根拠)があるのだろうか。
・学びの質を研究してきた東大名誉教授の佐藤学さんに聞いてみた。
「実は、ICT教育が学力向上につながるというエビデンスはほどんどんないのです」
・最も信頼できるのが、国際学習到達度調査(PISA)の調査委員会が2015年度にまとめた報告書だという。
学校でコンピューターの使用が長時間になると、読解力も数学の成績も下がっていた。
(例外的に、オーストラリアではコンピューターを使うほど読解力は上がっていた)
・理由は①深い思考を育む先生と子どもの対話がコンピューターによって拒まれる可能性。
②従来の授業スタイルのままコンピューターを入れることの限界
佐藤さんはこれに加え、③今のICT教育の現場で使われるソフトの質
「刺激と反応の学びは短期記憶にしかありません。
そもそもGIGAスクール構想は20年前のコンピューター教育。
協同で探究する学びに改革する必要があります」
・コンピューターに向かう時間が増えることが、子どもたちから深く思考する機会を奪うとしたら。その代償は計り知れない。
・私は子どもには、物事を多面的にとらえ、自分の意見をしっかり持った大人になってほしい。
・エビデンスのないまま広げ、貴重な学びの場が「実験台」になるのは勘弁だ。
・日本のICT教育は、先進国の中では周回遅れだ。だからこそ、効果をあげている他国の例に学べるメリットがある。
・ジョブズはこうも語っている。「教育の問題はテクノロジーでは解決できない。これは、政治の問題なのだ」
いかがでしたか?岡崎さんのご意見に私は共感しました。「信者の落とし穴」にならないように気をつけていきたいですね。
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