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No989 東日本大震災の子どもへの影響

  今日の朝日新聞朝刊の「被災地の子ども 心身の不調いまも」の見出しが目に留まりました。

 東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の42市町村のアンケートでは、スクールソーシャルワーカー(SSW)の任用が、震災前の2010年度は13人だったのが、2020年度は67人になり、約5倍に増えましたが、まだ不足していることが分かりました。

 

・福島県いわき市では、震災前にゼロだったSSWが7人に増え、市が受けた教育相談のうち、情緒障害の件数は14年ごろ増えた。当時外遊びが減少したことや家庭環境の変化などが影響したとみられる。

 

★震災が関連していると考えられる子どもの問題のSSWからの報告事例

・保護者の経済的、心理的不安により、愛着形成が不十分であったと考えられることによる不登校(岩手県久慈市)

・震災当時に生まれた子どもの生育状況が、現在の子どもの情緒面に現れている。(岩手県宮古市)

・震災後10年で家庭環境が複雑化しているケースがあり、様々な環境の変化から起こる不安定さから、心身の不調を訴える児童生徒がいる。(岩手県釜石市)

・震災を機に転出した家庭が、ひとり親家庭として本町に戻り、ひとり親となったことにより不安定な家庭環境に置かれた児童生徒に関する報告が多い。(宮城県女川町)

・経済的な問題で共働きが増えていることに加えて、津波被害によって「地域コミュニティが崩壊」したことが子どもの成育に影響を与えている。(宮城県南三陸町)

・両親の離婚や経済状況などの家庭の基盤の不安定さが、学校生活に及ぼす影響がより直接的で大きくなっている。(宮城県気仙沼市)

・不登校、落ち着かない、集団生活を送るのが難しい児童生徒が増加(宮現石巻市)

・複数回の転居経験などによる、交友関係の構築力やコミュニケーション力の不十分さを理由にした集合生活不適応(福島県川俣町)

 

・原発事故で影響を受けた地域では、平均で7回転居したという調査もある。

 

・「被災就学援助」を受けている児童生徒は2020年度は4579人(15年度と比べて6割減)

 原発事故の影響が深刻な福島県飯館村などでは、ほぼ全員が援助を受けている。

 

 度重なる転居の影響、家族構成の変化が大きな負担になっていることが分かりました。

 10年経っても爪痕が大きいのですから、教育でできることは支えてあげたいですね。