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蘭学事始 No.15

 蘭学事始 No.15

先週のLINEがるべるでは、終了後にも感想をいただきありがとうございました。私自身もとても勉強になりましたし、オランダに行ってみたいと思ってくださった方もいらっしゃって嬉しかったです。いただいた質問に対しては、私もまだしっかりと分かっていない部分があるので、ちゃんと勉強してからまたお伝えさせていただこうと思います。

 

さて今回は以前少しだけ予告したように、オランダで英語を勉強している話をお伝えしようと思っていたのですが、いざ書いてみると、ペラペラになったわけでもないのにこんなにくどくど書くのもいかがなものかと気が引けてしまいまして...(苦笑)

英語能力指数世界一位であるオランダ人の英語学習についてをお伝えさせていただこうと思います。

 

まず、特別編でお伝えしましたようにオランダの公用語は「オランダ語」ですが、実際のところなんと15歳以上のオランダ国民の94%がバイリンガルで、77%が3ヵ国語話者、4ヵ国語以上の話者も37%存在するそうです。オランダは英語が第一言語でない国の中で、英語能力指数が世界1位(日本は55位)という驚きの言語能力をもった国なのです。私自身1年半近くオランダで生活していますが、全く英語が話せないオランダ人に出会ったことはほんの数回だけです。

本当はオランダに住んでいるのだからオランダ語を勉強して話すのがマナーなのかなとも思うのですが、これだけ皆さんが英語を話せると実際の生活は英語のみでどうにかなってしまいます。

では、なぜオランダ人はそんなに英語が話せるようになったのか、どういう教育が行われているのか気になりませんか。

 

※オランダは学校の数だけ教育が違うと言われているので、英語の教育方法も多種多様なので、私が知っていることはオランダすべてに当てはまるとは言えないことをご了承の上、読み進めてください。

 

まずオランダでは、遅くとも10歳の学年から英語の授業を取り入れてくださいね、という決まりがあるそうです(もう少し早くしようという動きも出ている)。実際には1年生(オランダでは4歳)から英語の授業がある学校も多いようです。ではどんな授業が行われていると、小学校では文法などではなく英語でゲームをしたり、本を読んだり、動画を見たりしたり、英語の歌を歌ったりしながら英語に触れるのだそうです。回数はこれまた学校によって違うかと思いますが、私が現地校にお子さんを通わせている方から話を聞いた時は週4回ぐらい、とのことでした。これを知ったときに私が感じたのは、授業の頻度は確かに日本より高いけど、やってる内容は日本のALTの先生がいる授業とそんなに大きくは違わなように聞こえる・・・ということです。

細かい文法を学ぶのは中学校からだそうです。それも日本とそんなに変わりませんよね・・・?では、なぜ日本人とオランダ人の英語能力にこんなに差があるのでしょう。

 

私が考える理由は、

①英語に触れる頻度、必要性

②オランダ語と英語の言語が似ている

この2つが大きいと思います。

 

ます、①についてですが、オランダは小さな国であること、移民が非常に多い国であることから、オランダ独自のカルチャーが多種多様に発展しているというより、色々な国の文化が混在している国です。エンターテイメントの面でもそんなに多くの種類があるわけではなく、オランダ語に吹き替えられた映画やアニメは少なく、音声は英語、字幕がオランダ語、というテレビを小さいころからたくさん見て育ちます。さらに、ゲームなどもオランダ語の物が少なかったりするので、子供たちはどうにか英語を感覚的に解読して遊ぶそうです。大学は(外国語学部とかではないのに)もはや英語でしか授業が行われない大学もあるそうです。

また、移民が多い国ですから、英語が話せないと普通に生活するにもコミュニケーションに困ります。接客をしたいなら、オランダ国内にいたとしても、もはや英語は必須でしょう。

それに対して、日本は日本独自の文化がかなり発達していると思います。日本の漫画、ゲーム、アニメ、吹き替えられた映画、J-POPなど、子供が日本語のみで楽しめるものに溢れています。

私たちが子供の時に、英語ができないからテレビがわからない、ゲームができないなんて経験はありませんよね。今現在、私たちにとって日本の国内で生活していく分には、英語は必ずしも必要とは言えないと思います。でも、オランダ人にとってはそうはいきません。私は、オランダ人が英語をこんなに話せるようになったのは、教育の力ももちろんありますが、日常生活で英語に触れる機会が多い、ということの方が大きな要因だと思います。

 

②については、オランダは英語と同じ「ゲルマン語派」というのに属しているらしく、文法や単語などはかなり英語と似ているところがあります。私も生活している中で、スーパーなどでオランダ語が読めなくても何となく英語と似ているので予想がつくということが多々あります。文法的にも似ているので、主語がきて述語が来て~というような順番も似ているそうです。これはもう、残念ながら日本人よりオランダ人の方が圧倒的に英語学習は有利だと思います。

 

以上を踏まえて考えると、もちろんオランダの英語教育が日本より盛んで、色々な方法が昔から試されてきていることは明らかですが、仮にオランダの英語教育をそっくりそのまま日本で真似したとしても、学校教育だけで日本人の英語の能力を高めるのは正直言って限界があるように思えます。

だって、日本では英語を勉強したからといって「このゲームができる」、「このアニメがわかるようになる」、「最近転入してきた外国人の友達と話せる」

、というような子供たちにとって英語を勉強する必要性を感じる場面、動機づけが日常生活にあまりないですよね。

…ということを考えていると、日本で英語の教育をいったいどこまで高める必要があるのだろうか、ということを考えてしまうのですが、今後グローバル化していくことや英語の授業が嫌いな中学生や高校生が多いことを考えると、学校でできることを考えていかなくてはならないですよね。英語でコミュニケーションが取れるようになることで、これまで知りもしなかったことを知れるようになるというのも大きな利点だと思います。

次回は、オランダで実際に英語を勉強してみて感じたこと、日本の学校でも取り入れられたら面白そうだなと思ったことをお伝えしたいと思っています。