10月9日(金)の朝日新聞朝刊の「耕論」は「感染者を責める私たち」がテーマでした。三浦麻子教授(大阪大・社会心理学)の話が印象に残っていたのでkeepしておきました。
「コロナ感染者を責めてしまう心のメカニズム」
・心理学では、本来守るべき被害者を非難する心の動きを「公正世界信念」という考えで捉えてきた。
・世界には公正な秩序があると信じることで、私たちは安心して暮らせている。しかし、「公正なはず」の世界で不運に陥る人を目の当たりにすると、大きな不安に襲われる。
・すると、人の心には、「被害者は特別。正しく生きていればそんな目に逢わない」といういびつな事実認識をして、自分にとっての安定や秩序を取り戻そうとする力が働いてしまう。
・感染者のニュースを見て、「我慢せず遊びに行ったから」「何か不注意があったはず」といった理由づけをしたことはないか。
未知のウイルスなど予測不能な状況に直面した時、人間はそこに架空でも何らかの因果関係を仕立てて理解しようとする。そうすることによって自分を「守った」気持ちになる。
興味深いデータがあります。日本は他国に比べ「責める」意識が強いという調査結果があるそうです。
3.4月、日米英中伊5か国の約2000人の調査で「感染した人は自業自得か」の質問に「そう思う」と答えた人は、米英伊は1~2.5%、中国は4.8%、日本は11.5%でした。7月の調査でも同じ結果だったそうです。
・なぜ日本人は「責める」傾向が強いのか。規範意識が高いと言った説明はありえるが、調査からはまだはっきりと分かっていない。ただ、日本におけるコミュニティーのあり方が密接に関係していると言える。
・ある地方在住の方から、7月にその街で初めて感染者が出た際に「裏切られた」と言う声が上がったと聞いた。感染者を共同体のメンバーとして守るのではなく、「裏切った」と責めてしまう。
・「責める」ことによる不幸なループを断ち切るためにはどうすればいいのか。
「人間ってそんなもの」と意識することがまず必要。
冷静な時は「非難してはダメ」と考えられるのに、不安や恐怖が強いと差別してしまうのが人間という自覚が、心をコントロールするための第1歩になる。
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