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蘭学事始 No.13 「日本とオランダのカルチャーショック③」

 

 

こんばんは。オランダでは紅葉が始まり、すっかり辺りの木が黄色くなってきました。日本のように赤く紅葉する木は少なく、黄色ばかりです。これはこれで綺麗なのですが、日本の鮮やかな紅葉が恋しいです。

オランダ(ヨーロッパで全体的)ではコロナウイルスの第2波がやってきていて、九州ほどの面積しかないこの国で1日に8000人ほどの感染者が出ています。先週の水曜日から「パーシャルロックダウン」と呼ばれる部分的閉鎖が始まり、レストラン・カフェなどの閉鎖、集まっていい人数が4人まで等の制限が行われています。また、あんなにマスクをしなかったオランダ人ですが、ついに公共の場所でのマスクの着用義務を定めた法ができるようです。首相自身がマスクの効果は薄い、と以前発言していたぐらいなのでこの変化は驚きです。

死者は第1波に比べて少なく、病院のICUなどもまだ前回ほどいっぱいになっていないようなので、街の雰囲気は以前よりも落ち着いていますがこのまま感染者が増え続けると本格的にロックダウンになるそうです。

私は今月日本に一時帰国するつもりでいたのですが、残念ながらこのような状況ではとてもそれはできず、ほぼ家に居る日々です。

 

さて、今回はカルチャーショック第3弾ということで、「オランダ人の食事」についてです。

食文化が乏しい、美味しくないとよく言われるオランダですが、スーパーに行けば様々な食材が売られており、自分で料理をする分には日本とそんなに変わらない食生活が送れます。(もちろん刺身や生で食べれる卵がなかなか手に入らない、薄切り肉がスーパーでないなど、細かいことを挙げればたくさんありますが…。)移民が非常に多い国なので、スーパーには中東系、アジア系の調味料などもそれなりにおいてあるのです。では実際にオランダ人が色々な料理をしているかというと、そうではなさそうです。基本的に火を使った料理は夕食だけだそうです。朝とお昼はサンドウィッチ。しかもハムとチーズだけが挟まったかなりシンプルなサンドウィッチが主流と聞きました。朝食べたサンドウィッチの残りを包んで、お昼御飯用に職場や学校にもっていって食べる流れが一般的だそうです。学校では給食もありません。むしろ1日に2回も火を使って料理をしようものなら、もったいないと怒られてしまうそうです。では夕飯は何を食べるかというと、ラザニア、スタンポットやエルテンスープ(じゃがいもや豆が入ったオランダの料理)、パスタ、などをどーんとたくさん作って、ひたすらそれだけを食べることが多いそうです。日本人のように主食、おかず、サラダ…のようにあれこれ食べるということは少ないようです。(以前よりはいろいろな物を食べるようになってきているそうですが・・・)

世界的からみたオランダ人のイメージは「堅実・ケチ」とよく言われるように、オランダ人にとって食事とは「生きるために食べる」のだそうです。栄養がとれればよい、という考え方の人も多いと言います。美味しいものを食べるのが大好きな日本人にとってはかなり大きな違いだと思います。(ちなみにフランス人は「食べるために生きる」と表現されていました。)

この様な食生活なので、料理にかける時間は非常に少ないと言われています。日本人女性が料理のために台所に立つ時間は一日あたり平均2時間、それに対してオランダ人女性は30分だそうです。この結果は料理の簡単さだけではなく、働いている女性の割合やオランダ人男性の家事分担の量にも影響されていると思いますが、かなり短くて驚きました。生まれ変わるならオランダの女性になりたいと思わず感じてしまう結果でした。