· 

蘭学事始 No.11

「日本とオランダのカルチャーショック①」

こんばんは。3月に通っていた語学学校がコロナで休校になっていましたが、9月から再開され、4週間の集中講義が先週終了しました。コースの最後に、必ず一人一つずつ自由にトピックを選んでプレゼンテーションをするのですが、今回私はオランダに来てから経験したカルチャーショックについて話しました。そこで話したことを今日は少し紹介したいと思います。

今回は「太陽とオランダ人の関係」です。昨年初めてアムステルダムの街に行ったとき、私はあることに気づきました。その日は7月で、気温は25度前後、晴れた日でした。多くの人が家のドアの前で昼食を食べたり、本を読んだり、おしゃべりをしたりしているのです。私はそうしている人を最初に見た時、家族と喧嘩をして、家を追い出されたか、気まずい雰囲気になったので外に出ているのかと思いました。もしくは家の鍵を忘れたのかと…。そんなに大勢の人が同じ日に家族と喧嘩したり鍵を忘れているなんてあるわけないですよね。理由は「太陽」でした。ただみんな日光浴をしていたのです。この国において太陽がどんなに重要なものであるかは、今は充分理解していますが、その当時の私にはわかりませんでした。オランダや多くのヨーロッパの国では、夏の間は日が長く、日が沈むのは22時半を過ぎる時期もあります。しかし、そのような明るい季節は6~8月の終わりまでで、後は曇り、雨ばかりでどんどん日も短くなってきます。今日もずっと曇りと雨の繰り返しの一日で、どんよりした天気です。そんな国で生きていると、晴れて太陽が出ている日は大変貴重で、天気が良いとオランダ人はレストランのテラス席に座ったり、玄関の前に座って太陽を浴びたり、ベランダや公園の広場でリラックスして過ごすのを楽しんでいます。コロナによる死者が増え続けていた4月ごろにも数日間晴れの日が続いたそうですが、貴重な晴れ間を楽しむべく、大勢の人が公園やビーチに押しかけてしまい、大混雑した様子が報道されていました。さらに、日照時間が少なく、ビタミンDが足りなくなってしまうので、オランダで生まれた子供たちは4歳まではビタミンDのサプリメントを飲むことが必須とされているそうです。その後も多くの人がサプリメントを摂取しているといいます。ビタミンDが足りないと気分が落ち込み、鬱になってしまう人も多いので、オランダでは冬になると鬱病になってしまう人が多いと言われています。その分夏の間は皆さんこれでもかというほど外に出て、太陽を浴びるのを楽しんでいます。公園で水着姿になり日を浴び、湖(聞こえはいいですが私には沼に見えます)に飛び込み、運河沿いのテラス席でワインやコーヒーを飲みながらひたすらお喋りをして過ごす姿をたくさん見かけました。日本に住んでいたら(秋田などはまた違うのかもしれませんが)、「今日は天気がいいから外でコーヒーを飲みましょう。」「今日は天気がいいから、公園で太陽の光を浴びましょう。」という会話にはあまりなりませんよね。日本の夏ほど蒸し暑くないからこそできることでもあるのですが、私には面白い文化でした。しかし、去年の夏はそんなオランダ人の姿を面白いなあと思ってみていた私ですが、いつのまにか私も太陽が出ると自然と外に出たいなあと思うようになってきています…。毎日曇りの今は、「次はいつ晴れるんだろう」と楽しみにしながら何週間も先の天気予報をチェックする日々です。次回もオランダでのカルチャーショックについて書きたいと思います。