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No826  今年の国語世論調査から2

 昨日のつづきからです。今年は3つの慣用句を尋ねています。(  )内は平成20年度

①「浮足立つ」 ○「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」26.1%    ×「喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている」60.1%

 

②「手をこまねく」 ○「何もせずに傍観している」37.2%(40.1%)

 ×「準備して待ち構える」47.4%(45.6%)

 

③「敷居が高い」 ○「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」29.0% (42.1%)   ×「高級過ぎたり、上品すぎたりして、行きにくい」56.4%(45.6%)

 

④「今までのことを改め、最初から始めること」 ○「新規まき直し」42.7% 

 ×「新規まき返し」44.4%

 

⑤「前に負けた相手に勝つこと」 ○「雪辱を果たす」38.3%(43.3%)  

×「雪辱を晴らす」50.5%(43.9%)

 

⑥「よくわかるように丁寧に説明すること」 ○「噛んで含めるように」50.5%(43.9%)   ×「噛んで含むように」31.9%(39.7%)

 

「噛んで含めるように」以外は、12年前より正解率が下がっているのが気になります。

 ①②③⑥は、右上がりで年齢が上がるにつれて、正解率が上がる傾向が見られました。

 ④は谷型で16~19歳、70歳代が正解率が高く、⑤は山型で40歳代が正解率が高いことが分かりました。

 

「国語の乱れ」の認識変化については、「乱れていると思う」(66.1%) で20年前から約20ポイント減りました。3人の意見が載っていたので紹介します。

 ①同庁国語課「スマートフォンやSNSの普及で人々が文章を発信する機会が増え、多様な表現に触れやすくなった。辞書などで本来の意味とされているものと違うと思っても寛容に受け止める人が増えつつあるのでは」

 

 ②小田嶋隆さん(コラムニスト)「私たちはメールやLINEなどで素人が書いた口語に近い文章をかつてないほど大量に読んでいる。日本語に対する要求水準が下がり、寛容というより雑になった」

 

 ③田中ゆかり教授(日大・社会言語学)「多少間違った表現があっても素早く返事をする方が求められる場面が増えた。こうあるべきだという意識が社会全体でゆらいでいることも影響したのでは」

 皆さんはどう思いますか?